「おしゃれ田舎PJ」で小諸に30店超出店、元市職員の挑戦
「おしゃれ田舎PJ」で小諸に30店超出店、元市職員の挑戦

長野県小諸市で、市民有志による「おしゃれ田舎プロジェクト(田舎PJ)」が、空き店舗への新規出店や開業後の集客を支援し、これまでに30店以上の出店を実現した。中心人物の高野慎吾さん(39)は「まちに活気がないと文化や伝統を守れない。小諸市で開業してもらい、にぎわいを作り出したい」と話す。

旧宿場町のにぎわい再生へ

松本市出身の高野さんは、松本城で働いていた母親の勧めで地方公務員を目指し、2010年に小諸市へ入庁。しかし、当時の小諸駅前のシャッター街を見て「元気がないまちだ」という印象を抱いた。市内にはかつて百貨店などが並んでいたが、新幹線のルートから外れたり、近隣自治体に大型商業施設が開業したりするうちに廃れていた。

高野さんは移住推進の部署を担当していた2019年頃、移住希望者から「まちがにぎわってないと、移住したいという気持ちになれない」と指摘された。小諸城址を中心に古い建物や町並みが市内には多く残ることから、「空き家となった建物を利活用して開業できれば、移住者にも地元にもメリットがある」と考え、地元ケーブルテレビ局のキャスターやリノベーション業者など民間の友人を引き入れ、同年に田舎PJをスタートさせた。

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移住者と空き店舗をマッチング

プロジェクトでは「若い世代が出かけたくなる“まちなか”に生まれ変わらせる」ことを目的に、空き店舗の情報を集め、大家と調整して出店者を募ったり、移住者が望む店舗の持ち主を探して紹介したりしている。移住者向けに市を知ってもらうセミナーやフィールドワークも開催し、「開業前に地元の人とつながることで、小諸の空気感に合う人を呼ぶことができる」という。

活動は当初、市役所での勤務後に行っていたが、取り組みが評価され、2年目からは役所の業務として認められた。新型コロナウイルス禍での需要にも後押しされ、市に移住・開業する人は順調に増加。小諸駅周辺はにぎわいを取り戻しつつある。

不動産会社設立、新たな挑戦

田舎PJが軌道に乗る一方で、賃貸物件を多く取り扱う不動産会社が少なく、活動に制約を感じるようになった高野さんは「自分がやるしかない」と市役所を退職し、2024年に不動産会社「高野不動産」を設立した。

田舎PJに取り組んで約7年、シャッター通りだった駅前の相生町商店街にはカフェや花店などが出店し、1階の店舗がほぼ埋まった。2025年には中心市街地の公示地価が33年ぶりに上昇した。

今後の目標は若者の地域への定着率アップ。田舎PJの第2弾として、小諸義塾高校の近くにある蔵を改装し、高校生の居場所となるような飲食店の開業を目指している。「なんでもない日常を重ねるなかで、ふるさとへの愛着を醸成してほしい」と高野さん。小諸のまちなかをおしゃれに——。プロジェクトは今後も続く。

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