瀬戸内の芸術と海に魅せられ移住、古書店兼バー経営 玉野・宮本さん
瀬戸内の芸術と海に魅せられ移住、古書店兼バー経営 玉野・宮本さん

瀬戸内海に面した岡山県玉野市の宇野港。1988年に瀬戸大橋が開通するまで四国への玄関口だったこの場所には現在、巨大な魚のオブジェ「宇野のチヌ」「宇野コチヌ」が設置されている。緑や黄、赤とカラフルなうろこが目を引くが、近づいてみると一つひとつが宇野港周辺で拾い集められたゴミで作られていることが分かる。2010年の瀬戸内国際芸術祭の作品で、そのまま展示されている。

芸術と海に引かれて移住

穏やかな瀬戸内海と芸術が融合した街の魅力に引かれて移住する人は少なくない。宇野港近くで古書店兼バー「ココカ古書店」を経営する宮本万平さん(41)もその一人だ。

京都府舞鶴市出身の宮本さんは、東京で写真関係の仕事をした後、ワーキングホリデーでドイツやカナダ、オーストラリアを5年半転々とした。帰国後、京都市で生活したが、観光客が多い街は窮屈に感じたという。海を眺めていれば穏やかな気持ちになれると、特に瀬戸芸で訪れた瀬戸内海がお気に入りに。大阪で開かれた玉野市の移住希望者向け説明会に足を運び、芸術家らが少しずつ移住していることを知り、「これから何かが始まるワクワク感があった」と振り返る。

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ゲストハウスから古書店へ

2019年に移住して始めたのは、約100か国の放浪経験を生かしたゲストハウス。瀬戸芸の外国人客でにぎわい、台湾出身の若者らが住み込みで働くようになった。翌年には古書店開店の夢に挑戦。場所探しでは、広島県出身でガラス作家の先輩移住者・森美樹さん(46)からビルの所有者を仲介してもらうなどのサポートがあった。

古書店は本が好きだったからだが、バーを併設したのは観光客と地元の人の交流の場にしたいとの思いから。狙い通り、バーには海外からの観光客との会話を楽しみに通う常連客が多く、交流の場になっている。

子育てと新たな挑戦

移住後、結婚し2人の娘にも恵まれた。居住費の安さなど過ごしやすさを実感する日々で、最近は営業をスタッフに委ねることが多く、家族で海岸にピクニックに行くこともある。玉野での暮らしは7年を超えたが、挑戦は尽きない。

2月には、市外の人に玉野のカルチャーを知ってもらうきっかけにしようと、他の移住者や地元の若者と雑談するポッドキャスト番組「UNOダラダ」を開始。「それぞれがやりたいようにやる。そうすることで個性の集まる面白い街になる」と信じている。

ココカ古書店はJR宇野駅から徒歩5分。営業は午後4〜11時で、火・水曜定休、月曜不定休。店名の「ココカ」はハワイ語で「角」を意味し、「エッジの効いた選書」を目指した古本は約3000冊。酒やコーヒー、ノンアルコールカクテルのほか、担々麺などの食事やデザートも提供する。

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