宮古市のグリーンピア三陸みやこが再生へ、みちのりホテルズ新社長が改革 現在の売り上げは前年の約2倍に
宮古市のグリーンピア三陸みやこが再生へ、みちのりホテルズ新社長が改革 現在の売り上げは前年の約2倍に

宮古市の第3セクターが運営してきた宿泊施設「グリーンピア三陸みやこ」は、2026年3月期に3期連続の赤字となり、2026年からみちのりホテルズ(盛岡市)に運営を委託した。県内外でホテル再建の実績を持つ同社の渡辺新一郎社長(56)が6月1日付で就任し、読売新聞の取材に応じて「雇用を生み出し、地域を元気にできる存在でありたい」と述べた。グリーンピアの再生を通じて地域観光の活性化を図る考えを示した。

ホテル業界に30年以上身を置く渡辺氏は、2017年に浄土ヶ浜パークホテル(宮古市)総支配人に着任。外部委託だった客室清掃を自社運営に切り替え、年間約2000万円のコスト削減を実現した。2023年には民事再生法の適用を申請した丸峰観光ホテル(福島県会津若松市)で、食材の直送やビュッフェ形式の導入などを進め、1年で完全な黒字化を達成している。

再生は現場から

こうした再建実績を買われ、宮古市から2028年3月末まで約2年間の運営を託された。渡辺氏の信念は「ホテル再生は経営陣ではなく、現場の人が行う」というもの。自ら現場を歩き、明るく働ける環境を整えることで、従業員やその先の客の満足感につなげる。

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従業員には成功体験を積ませることが大切だと説く。「お客様から特定の従業員へのお褒めの言葉をいただいたらすぐに本人にフィードバックする」。喜びが士気向上につながるという。

売り上げ前年の約2倍に

「ホテルを幸せにするプロ」を自負する渡辺氏は、現在も再建への一手を次々と打ち出している。かつては高級な懐石料理を提供していたが、人気のあるビュッフェ形式の食事を導入。ファミリー層を意識し、今夏からはバーベキュープランに加え、敷地内で捕まえた幼虫を育てて子どもがカブトムシ捕りを楽しめる体験型プランを展開している。現在の売り上げは前年の約2倍になっているという。一方で「学生スポーツの合宿や団体需要」といった従来の客層も大切にしていく。

県の観光統計(2024年版)によると、延べ入り込み客数は2644万人回で、コロナ禍前の2019年比で9.5%減少した。一方、観光消費額は同13.6%増の約1992億円で、客単価の上昇が客数減を補っている。観光需要には地域差もあり、2025年4~6月期の沿岸エリアの入り込み客数は前年同期を14%下回り、県内4エリアで最も落ち込んだ。

滞在型観光への転換

渡辺氏は岩手の観光を「通過する観光」から「滞在して楽しむ観光」へ転換する必要があると訴える。グループ会社の県北バスとの連携で2次交通の利便性を高め、宿泊と交通の両面から滞在時間の拡大につなげる構想を描く。

地域への思いを問われ、「みちのりホテルズがこの街に来てくれて良かったと言っていただけるような確かな足跡を残したい」と言葉に力を込めた。

渡辺新一郎氏と施設概要

渡辺氏は1970年、熊本県玉名市生まれ。東京全日空ホテル(現ANAインターコンチネンタルホテル東京)でバーテンダーとしてキャリアを始め、営業・宿泊宴会・婚礼部門の責任者を歴任。2017年に浄土ヶ浜パークホテル総支配人に着任後、みちのりホテルズ常務、専務を経て、2026年6月に社長に就任した。

グリーンピア三陸みやこは1985年の開業。8階建てのホテル棟や体育館などを備える県沿岸部最大規模の宿泊研修施設で、100万坪を超える広大な敷地にスポーツ施設も整う。東日本大震災では多くの避難者が身を寄せ、敷地内には仮設住宅も並んだ。

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