牢屋敷の緊張 お粂の狂気の笑いと武器密造の真相を巡る攻防
お粂の狂気の笑い 武器密造の真相を巡る牢屋敷の攻防

牢屋敷での緊迫した尋問と突然の狂気の笑い

惣十郎は、表向きの尋問を繰り返すことに早くも痺れを切らし、牢屋同心に気兼ねしつつも思い切って核心に迫る質問を切り出した。

「こたび、弓浜宗佑をはじめとする関係者に改めて話を訊くうち、武器密造についてどうにも辻褄の合わぬ点が多く出てまいりました。お前からも詳しい話を聞いた上で、真実のところを明らかにしたいと考えて参ったのです」

突然の狂気の笑いと激しい非難

その瞬間、カッと奇妙な声が立ち上がった。見れば、お粂の肩が小刻みに震え始めている。すぐにその震えは大きな揺れへと変わり、それまで萎れたように小さくなっていた彼女は、身をのけぞらせ、天を仰いで笑い出したのである。

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「控えよっ!」牢屋同心が怒鳴るも、お粂の笑い声は収まらなかった。

「気でもふれたか」崎岡がおぞましげにつぶやく。白髪を振り乱し、前歯の欠けた口を大きく開け、深く皺の刻まれた目尻に涙まで溜めて、お粂は笑い続けている。その様子は確かに、一種の狂気を帯びていた。

お粂はひとしきり笑うと、にわかに背筋を伸ばし、再びこちらに目を向けた。片方の口角が、歪に持ち上がっている。

「なにを言うか」笑いに混ぜて、彼女は吐き捨てた。

「お前らごとき不浄役人に、まことのところが解き明かせるはずもなかろうよ。そもそも、真なるところを見ようともせんのが、お前らではないか。己の手柄のためなら、無辜の者すら平気で罪人に仕立て上げるのが、お前らの仕事だろうよ」

暴力と緊迫の展開

突如、牢屋同心が無言のままにお粂の背中を蹴った。彼女は呆気なく前にのめり、激しく頭を板間に打ち付ける。

「や、なにすんだえ」さすがに惣十郎は声をあげ、お粂に寄ってその身を抱え起こした。こめかみから血が出ている。とっさに、袂から手拭いを出し、傷の箇所を押さえた。

「俺たちゃ話を聞きにきてンだよ。拷問じゃねンだから、乱暴はするな。話にならねぇだろうっ」

牢屋同心に言うと、彼はあからさまに眉をひそめた。

「おい、ここは牢屋敷だぜ。ここの者の差配に従うんだ。俺たちゃ面会の労をとってもらってンだからよ。ここで諍いを起こしゃ、志村様に報じられるぜ」崎岡は怯えも露わに、そうたしなめた。

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