「よく分からないのが当たり前」現代川柳の魅力を暮田真名が語る、自由な表現の楽しみ方
現代川柳の魅力、暮田真名が語る「よく分からないのが当たり前」

「よく分からないのが当たり前」現代川柳の魅力を暮田真名が語る

〈良い寿司は関節がよく曲がるんだ〉〈いけにえにフリルがあって恥ずかしい〉――。こんな実験的で不思議な「現代川柳」で注目を集める若手川柳人がいる。暮田真名さん(28)だ。彼女は川柳との出会いや、独特な作品の楽しみ方を語った。

共感を求めない自由な表現

暮田さんの川柳は非常に個性的だ。一般的に川柳は時事ネタや日常の「あるある」を詠むものと思われがちだが、彼女の作品は違う。「それは『シルバー川柳』や『サラリーマン川柳』のことですね」と暮田さんは説明する。「川柳には俳句のような季語のルールがなく、五・七・五の形式だけが決まりです。だからこそ万能で、時事ネタも実験的な表現も可能なんです」。

彼女の作品には、すぐに意味が分からないものも多い。「私も最初に読んだときは『何を言ってるんだこの人は!?』って感じでした」と笑う。「現代川柳は『あなたもこういう気持ち、あるよね?』という共感を求めていないので、よく分からないのが当たり前。『何だろう?』と思いながら読むのがいいんじゃないでしょうか」。

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作品例で見る現代川柳の楽しみ方

例えば、暮田さんの作品〈飴色になるまで廊下に立っている〉を考えてみよう。学校で宿題を忘れたときに言われる「廊下に立っていなさい!」というフレーズと、タマネギを炒めるときに使われる「飴色になる」という慣用句を組み合わせている。二つの表現をつなげることで、時間の長さや廊下に立つみじめな気持ちが感じられるかもしれない。

「こうした言葉の組み合わせが、現代川柳の面白さです」と暮田さんは語る。「正解がないからこそ、読む人それぞれが自由に想像できるんです」。

川柳に救われた過去

暮田さんが現代川柳にハマったきっかけは、自身の学生時代にある。中高生時代から短歌が好きで、大学では短歌や俳句のサークルに入ったが、「人が共感するような作品を詠めなかった」という。そんなとき、書店のフェアで現代川柳に出会った。

通っていた中高一貫の女子校は進学校で、周りは理系ばかり。「東大に行かないと落ちこぼれ」という価値観に支配されていた彼女にとって、川柳の正解がないところや、何を書いてもいい自由さは「すごく気楽で、癒やしになった」と振り返る。

川柳の普及に尽力

暮田さんはここ数年、川柳に関する本を多数出版している。「川柳を知ってほしいという気持ちが大きいですね。普通に読み物として面白いので『これを知らないのは損ですよ!』と思いながら本を書いています」と語る。

川柳は教科書にはほとんど載っていないが、「知らないだけで川柳に向いている人がきっといるはず」と彼女は信じる。「言葉の表現が好きな人に『川柳を作る』という選択肢を持ってもらいたいと思っています」。

現在、暮田さんは川柳教室の講師を務めたり、句会を主宰したりしている。1997年東京都生まれの彼女は、中高一貫の私立女子校から早稲田大学文学部へ進み、2017年から川柳を詠み始めた。自費出版で句集を制作し、2022年に第1句集「ふりょの星」を刊行。新著「ゆきどけ産声翻訳機」も出版している。

現代川柳の世界は、正解を求めず、自由に言葉を楽しむ場だ。暮田真名さんの活動を通じて、より多くの人々がこの表現形式の魅力に触れることが期待される。

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