東京・府中駅前のけやき並木通り(フォーリス前)で9月22日、「府中交通安全フェスティバル」が開催された。府中警察署、府中市、東京スバル、三井住友海上火災保険の4者が主催した交通安全イベントで、会場にはレアな警察車両や自動車の安全技術を体験できるブース、自転車の交通ルールを学べるコーナーなどが並んだ。
レアなパトカー展示とスバルの試乗体験
会場でまず目を引いたのはパトカーだ。日産「フェアレディZ」や三菱「アウトランダー」といった、普段はあまり見かけないパトカーが並び、フェアレディZの運転席に乗って記念撮影できるコーナーには長蛇の列ができていた。ホンダの白バイも人気を集め、子どもたちが実際にまたがって記念撮影する姿が見られた。普段は間近で見る機会の少ない警察車両に触れることが、子どもたちが交通安全に関心を持つきっかけにもなっていた。
東京スバルは最新型「フォレスター」と電気自動車「トレイルシーカー」を展示。フォレスターでは、先進運転支援システム「アイサイト」に搭載されたプリクラッシュブレーキの体験試乗も行われた。参加者を乗せたフォレスターがクリープ現象でゆっくりと前進し、前方に設置された障害物に近づいていくと、自動でブレーキが作動して車両が停止するという流れだ。最初は緊張した様子で前方を見つめていた参加者も、無事に停止するとほっとした表情に。車を降りる頃にはみんな笑顔を見せていたのが印象的だった。
「一つのいのちプロジェクト」と事故を減らす取り組み
東京スバルが今回のイベントに参加した背景には、同社が進める「一つのいのちプロジェクト」がある。東京スバルの担当者は、「今、スバルでは2030年までに交通死亡事故をゼロにしようという取り組みを実施しています」と説明した。SUBARUが目指すのは、SUBARU車乗車中の死亡事故と、SUBARU車との衝突による歩行者・自転車などの死亡事故をゼロにすることだ。また、SUBARUは人や自然のいのちを守る活動を応援する「一つのいのちプロジェクト」も展開している。
今回のイベント出展については、「府中市さんと三井住友海上さんからお声がけいただいて、交通事故を減らすための取り組みに参加させていただきました。実際に最新の安全技術を体験していただくことで、皆さんに安全について考えてもらうきっかけになればと思っています」と、その狙いを明かす。三井住友海上火災保険による地域共創の取り組みにも強く共感しているようだ。
「スバルだけでできることには、どうしても限りがあります。私たちは自動車メーカーなので、車や安全技術を通じたアプローチが中心になりますが、保険会社にはまた違った仕組みやネットワークがあります。お互いの強みを生かして一緒に取り組むことで、より多くの方にメッセージを届けられると思っています」(東京スバル担当者)
「事故が起きた後」だけでなく「事故を起こさない」取り組みへ
一方、三井住友海上のブースでは、府中市内の自転車事故に関する情報を紹介。事故が発生した場所を示したマップや具体的な事故例を展示し、来場者が自宅周辺や子どもの通学路などにどのような危険があるのかを確認できるようにしていた。子ども向けには、交通ルールを題材にしたクイズも実施し、クイズにチャレンジした参加者には“折り紙タイプの反射材”というプレゼントも用意されていた。
三井住友海上の担当者によると、こうした取り組みを始めた背景には、損害保険会社としての役割の変化があるという。「私たちはこれまで、事故が起きた後に保険金をお支払いして、被害を補償するというところが中心でした。でも、今は事故そのものをなくしていく、事故が起きない社会をつくっていくというところにも取り組んでいます」(三井住友海上担当者)
そこで、保険金支払いの業務を通じて蓄積してきた事故に関する知見を活かそうと考えた。「事故が起きたときに、どういう状況で事故が起きたのかということを、私たちは保険金のお支払いを通じて見てきました。そうした事故対応のノウハウも生かしながら、事故を減らすための取り組みにつなげていきたいと考えています」(三井住友海上担当者)
その一環として府中市との取り組みも開始。府中市では数年前に小学生が犠牲となる交通死亡事故が発生しており、市側にも子どもの交通事故を減らしたいという問題意識があったという。三井住友海上は今後も府中市と継続的に取り組んでいく考えで、来年のイベント開催についても調整しているという。三井住友海上の担当者は「これからはイベントだけでなく、小学校に伺って交通安全についてお話しするような取り組みもできればと思っています。実際に起きた事故の事例やデータも活用しながら、1件でも事故を減らしていきたいですね」と今後の展望について語った。