東武鉄道は13日、東上線に導入する新型車両90000系の取材撮影会を実施した。東上線における新型車両は18年ぶりで、現行の9000系を代替する車両として導入される。営業運転開始は9月26日で、しばらくは東上線内のみ運行予定だ。
車両デザインとコンセプト
90000系は10両編成で片側4ドア。車体はアルミ製で日立製作所が製作。大胆な先頭形状が特徴で、前面下部から反り上がるように丸みを持たせた逆スラント式を採用。荒川や新河岸川の「舟運」が東上線における人と物流のルーツとなったことに着目し、「地域と人と未来をつなぐ わたし舟」をコンセプトにデザインした。
現在の主力車両50000系はオレンジ色基調だが、90000系は東上線のラインカラーである青色を基調。前面下部や乗降扉の窓周りを濃い青色、優先席とフリースペースのある乗降扉の窓周りを薄い青色で配色。車号は50000系を踏襲し、シャイニーオレンジとした。側面窓下の帯は採用せず、「メンテナンスの負荷を低減することも目的のひとつ」と説明された。
車内デザインと快適性
車内はシンプルで飽きの来ない配色。下部を黒系、上部を白系とし、空間を広く感じられる工夫。外観と同じく「舟運」をイメージし、木造の舟で使われた木目調を随所にあしらい、袖仕切り部に日本の伝統柄である立涌柄、床に川越城の本丸御殿の枯山水を思わせる柄を採用。落ち着いた客室空間を実現した。
乗降扉は窓ガラスを床方向へ拡大し、一般的な通勤車両より縦に長い形状で、小さな子どもでも外の景色を眺められる。袖仕切りは大型ガラスで清潔感と見通しの良い空間を確保。車両間の貫通扉も全面ガラス構造で開放感を演出。衝突防止フィルムは川の流れを連想させる柄を採用した。
吊り手は高低2種類を1本ずつ交互に配置し、身長差に対応。優先席に加え、車いす・ベビーカー利用者向けのフリースペースを各号車に設置。乗降扉上部に17インチの2画面表示器を設置し、左側は広告、右側は行先案内などを表示。防犯カメラも取り付け、セキュリティを向上した。
省エネ性能と今後の導入計画
車内外のLED照明、フルSiCのVVVF制御装置、高効率IMなどの最新省エネ機器を搭載。効率的な機器構成により、既存の9000系と比べて消費電力を40%以上削減し、高い省エネ性能による環境負荷低減を実現した。
9000系は1980年代に地下鉄直通用として導入され、現在も東京メトロ有楽町線・副都心線や東急東横線、みなとみらい線への直通運転に使用。90000系も同様に直通運転に対応し、東急新横浜線への直通にも対応するが、相鉄線には直通せず、ダイヤ乱れ時を除き新横浜駅までの乗り入れ予定はない。
東上線では50000系が主力だが、9000系や10000系、30000系なども活躍中。90000系は9000系の代替として計7編成を導入し、10000系や30000系の代替としても順次導入予定。今後の東上線で通勤車両の新たな標準となる可能性があり、車両の世代交代が大きく進むと考えられる。
デビューイベント
9月26日のデビュー後、90000系はしばらく東上線内のみ運行し、その後、東京メトロ有楽町線・副都心線などへの直通運転を開始予定。デビューに先立ち、8月2日に90000系3編成が一堂に会する特別な車両撮影会・内覧会を開催。7月18日から8月31日まで90000系の誕生を記念したスタンプラリーを実施し、営業運転開始日には「東上線新型車両90000系就役記念ツアー」などの開催も予定している。



