NTT法の廃止を受け、NTTグループは完全子会社化したドコモを中核に据え、6Gや光通信などの次世代技術への投資を加速している。これまで規制で制限されていた海外事業や光回線の卸売りなどが自由化され、競争環境が大きく変わる。
NTT法廃止の背景とドコモへの影響
NTT法は、NTTの特殊な地位を考慮した規制法で、外国資本の制限や研究開発成果の公開義務などが含まれていた。2023年に同法が廃止され、NTTグループは通常の会社法のもとで事業展開が可能になった。特にドコモは2022年に完全子会社化されており、グループの通信戦略の要として位置づけられている。
これまでドコモは、NTT法の下で他の通信事業者との公平な競争が求められていたが、規制緩和によりグループ内での連携が深まり、光回線やデータセンター事業とのシナジーが期待される。一方、KDDIやソフトバンクなど競合他社は、NTTグループの市場支配力強化を懸念しており、公正競争の確保が課題となる。
6G時代に向けた研究開発と投資計画
NTTグループは、2025年度までに6G関連の研究開発に約1兆円を投資する計画を発表している。ドコモは、NTTの研究所が開発する革新的な光通信技術「IOWN」を活用し、2030年代の6G商用化を目指す。IOWNは、光電融合技術により従来の100倍以上の省電力と低遅延を実現する。
また、ドコモは5Gのさらなる高度化や、衛星通信との連携も視野に入れている。NTTグループ全体として、通信インフラからクラウド、AIまで一貫したサービス提供を目指す。
競合他社の反応と市場への影響
KDDIとソフトバンクは、NTTグループの垂直統合が競争を阻害するとして、総務省に公正競争条件の維持を要請している。特に、光回線の卸売り価格や、ドコモの携帯電話と光回線のセット販売が、市場支配力の強化につながる可能性を指摘する。
一方、楽天モバイルは、NTT法廃止により新規参入のハードルが下がるとして、肯定的な見方を示す。しかし、実際にはNTTグループの規模と技術力に対抗するのは容易ではなく、業界再編が進む可能性もある。
今後の展望と成長戦略
ドコモは、NTTグループの総合力を活かし、法人向けビジネスやIoT、自動運転などの分野で成長を狙う。特に、IOWN技術を活用したスマートシティや遠隔医療などの社会課題解決型サービスに注力する。
また、海外展開も積極化する。NTT法の廃止により、外国資本規制が緩和され、海外企業との提携や買収が容易になる。ドコモは、アジアや欧米での通信事業拡大を視野に入れている。
しかし、課題もある。NTTグループ内でのドコモの役割が明確化される一方、固定通信と移動通信の融合が進む中で、組織の再編や人材の確保が求められる。また、巨額の投資を回収するための収益モデルの構築が急務だ。
総務省は、NTT法廃止後も競争状況を監視し、必要に応じて規制を導入する方針を示している。ドコモとNTTグループの戦略が、日本の通信業界にどのような影響を与えるか、引き続き注目される。



