「天空のマチュピチュ」と称されるコモアしおつ
山梨県上野原市に位置する「コモアしおつ」は、山を切り拓いて造られたニュータウンで、その景観から「天空のマチュピチュ」とも呼ばれている。開発から35年が経過した現在も、美しい街並みを維持し続けている理由は、住民と開発主体である積水ハウスとの継続的な協力関係にある。
住民活動と積水ハウスの伴走
積水ハウスの担当者は、住民による活動の積み重ねが街並みを支えていると話す。開発から30年以上経った今も、積水ハウスはコモアしおつとの接点を持ち続けており、2024年4月には上野原市と包括連携協定を締結。住民が安心して暮らせる環境づくりや街の魅力向上に連携して取り組んでいる。
かつて積水ハウスが立ち上げたイベントは住民主体へと引き継がれ、コミュニティ形成の面でも関わりが続いている。最近では、コモアしおつ内の小学校の授業にも携わり、住民の松田さんが講師を務め、子どもたちが街を歩いて歴史や魅力を学ぶ機会を提供した。
人口データと街の変遷
2020年の国勢調査によると、コモアしおつ1~4丁目の人口は3434人、世帯数は1264世帯。上野原市全体の人口は2万2669人で、人口減少が進む地域にあって、東京への通勤者向け住宅地として開発されたこの街は、今や「暮らし続ける街」として新たな局面を迎えている。
住民の松田さんは、現在の状況を「端境期」と表現する。「街は生き物です。そこで暮らす人がいる以上、良くも悪くもなります。子どもたちが住み続けたくなる街を残せなければ、街はすぐに廃れます。今はその端境期です。この地で暮らした恩恵を次の世代にうまく引き継がなくてはならない時期になっています」と語る。
自然と調和した景観維持の取り組み
コモアしおつでは、ガードレールのない自然と調和した道路設計や、街区や公園を示す看板にカブトムシのイラストを用いるなど、細部にわたって景観への配慮が行き届いている。こうした取り組みが、開発から35年経っても「美しい街」であり続ける理由の一端を担っている。
インフォメーションセンターには街区のパネルが飾られ、街の歴史や魅力を伝えている。住民と積水ハウスが協力し、必要な場面で積水ハウスが伴走する関係性が、街を次の世代へつなぐ支えとなっている。
これからのコモアしおつ
通勤のまちから、暮らし続けるまちへと変貌を遂げつつあるコモアしおつ。住民の活動と積水ハウスの支援により、景観とコミュニティが維持され、次の世代への継承が図られている。この「天空のニュータウン」は、バブル期に生まれた規格外の街として、新たな時代を迎えている。



