日経平均株価が6万5000円を割り込み、AI関連の代表格であるキオクシアホールディングス(HD)の株価は最高値から半値以下に急落した。市場には不安が広がるが、ケイ・アセット代表の平野憲一氏は「今回の下落は上昇相場の途中における調整局面にすぎない」と指摘する。その根拠として、AI需要の構造変化や企業の生産性向上、投資の持続性を挙げる。
相場全体と個別株の違いを理解する
平野氏はまず、下落連鎖の考え方は相場全体に適用されるものであり、個別株には当てはまらないと注意を促す。個別株は市場全体よりもボラティリティ(変動率)が高く、決算の下方修正など企業固有の要因で20%以上の下落は日常的に発生する。これは「弱気相場入り」ではなく「企業固有のショック」であり、指数の20%下落が景気後退懸念など市場構造の変化を伴うのとは異なる。
キオクシアHDは単なる個別株ではなく、日経平均への寄与度が高いAI関連の代表銘柄である。それでも平野氏は、AI相場の終焉ではなく、過熱感をそぎ落とす健全なプロセスと捉える。
AI相場継続の3つの根拠
平野氏は以下の3つの根拠から「AI相場はまだ続く」と判断している。
(1) AI需要の中心がメモリから計算資源へ移行
キオクシアHDの下落はNAND型フラッシュメモリ市況の調整が主因であり、AIサイクルの中心であるGPU(画像処理半導体)・HBM(高帯域幅メモリ)・データセンター投資は依然として拡大基調にある。NVIDIAの売上高は前年比プラス100%超の成長が続くとの見方が優勢だ。
その戦略の一環として、NVIDIAは日本を重要なパートナーに選んだ。報道によれば、先週末時点でトヨタ自動車、三菱重工業、東京エレクトロン、オムロン、ファナック、富士通、川崎重工業、NEC、安川電機、クボタ、NTTデータ、三菱電機、ソニーグループ、セガ、ソフトバンクグループなど、多数の日本企業との提携が明らかになっている。
(2) AI相場は構造改革相場である
AIは単なる人気テーマではなく、企業の競争力を左右する基盤投資(インフラ投資)だ。AI導入企業の生産性向上率は平均20〜40%、生成AIの導入率は世界でまだ20%台、AIモデルの計算量は年率300%で増加している。つまり、投資のピークはまだ先にある。
(3) 市場は「AIの第二幕」へ
平野氏は、AI相場は第1幕(半導体・クラウド主導)から第2幕(応用・エッジAI・ロボティクス)へ移行しつつあると指摘。第2幕では、日本企業の強みである製造業やロボット技術が活かされる局面が来る。NVIDIAと日本企業の連携はその象徴であり、調整後も成長が期待できる。



