2026年7月15日から17日にかけて東京ビッグサイトで開催されている「TECHNO-FRONTIER 2026」において、STMicroelectronicsの日本法人であるSTマイクロエレクトロニクスは、AIデータセンター向け800V直流(800V DC)電源アーキテクチャに対応する電源ソリューションを日本初公開した。同ソリューションは、高効率な電力変換を実現する次世代パワー半導体であるGaN(窒化ガリウム)およびSiC(炭化ケイ素)を活用し、データセンターの消費電力増大に対応する。
800V DC電源ソリューションの詳細
公開された主なソリューションは、800Vを50Vに変換する12kW DC-DCコンバータ(DCX)、50Vを12Vに変換する1kW電力分配ボード(PDB)、800Vを直接12Vに変換する6kW DCX PDBなどである。800V to 50VのDCXは、650V GaNパワートランジスタと高電圧側のGaNドライバ、100V GaNパワートランジスタと低電圧側のGaNドライバ、およびSTM32マイコンで構成され、目標変換効率は98%としている。一方、800V to 12VのDCXは、650V GaNパワートランジスタと高電圧側のGaNドライバ、40V SiパワーMOSFETと低圧側のドライバ、およびSTM32マイコンで構成され、目標変換効率は97%としている。いずれも冷却方式は水冷である。
現在、これらはリファレンスデザインとして提供されている。また、同社では800Vから6Vへ直接変換するDCXも開発中で、150V GaNパワートランジスタと25VのSiパワートランジスタ、STM32マイコンを組み合わせる予定である。
SiC/GaN生産体制の大変革
同社はイタリア・カターニャにSiCウェハの製造から前工程、後工程まで一貫対応可能な「Silicon Carbide Campus」を整備中。2026年7月1日から2027年6月30日の期間で、既存の6インチSiCウェハ前工程工場を閉鎖し、代わって8インチSiCウェハ前工程工場を稼働させる予定である。また、シンガポールのアンモキョ工場でも6インチSiC前工程ラインを閉鎖する。一方、中国では三案光電と8インチベースのSiCデバイス製造合弁会社を設立するなど、中国内外で生産体制の切り分けを進めている。
GaNについては、中国Innoscienceとのパートナーシップに基づき、中国の珠海および蘇州にあるInnoscienceの8インチGaN製造拠点を活用し、中国向けGaNパワー半導体を製造。2027年第1四半期より、カターニャ工場で中国外顧客向け8インチGaNパワー半導体の生産を本格開始する予定で、最初の製品は700V 130mΩ品となる。
さらに、GaN高性能化に向け、ゲートドライバやPWMコントローラなどを1パッケージ化した新GaN製品ファミリ「OmniGaN」の開発を進めており、エンジニアリングサンプルの提供を近々開始する予定である。
フィジカルAI時代のロボット向けソリューション
同社ブースでは、スマートインダストリアル/フィジカルAI向け提案として、自社開発のヒト型上半身ロボットを用いたデモを公開。1.53Mpカラー・グローバルCMOSシャッタ・イメージセンサ「VD66GY」で人間の動きを認識し、STM32N6で姿勢特徴点を抽出。STM32MP257を活用してROS2およびマニュピレーションソフトウェア「Movelt」で処理し、人間の腕の動きに合わせたロボットの腕の角度指示を作成、各腕のモータ制御で処理する3段階の流れである。
また、ロボット関節用サーボモータもデモ公開。STM32G4/H7マイコンやGaNトランジスタとゲートドライバを統合した「GaNSPIN1100」、GaN制御IC「STDRIVEG210/211/212」、CAN-FD、RS-485などを小型円形基板上に集約。上半身ロボットには搭載されていないが、基板が完成したばかりで間に合わなかったためである。
さらに、5本指ロボットハンドの実働デモも行われ、イメージセンサとSTM32N6で手と指の動きを認識し、ロボットハンドにフィードバックする。



