宇宙航空研究開発機構(JAXA)は11日、繰り返し使える再使用型ロケットの小型実験機「RV-X」の初飛行試験を秋田県能代市の能代ロケット実験場で実施し、機体は高度約11メートル(速報値)まで上昇後、降下して着陸に成功した。各国が打ち上げコスト低減につながる再使用型ロケット技術の獲得を急ぐ中、日本も一歩前進した形だ。
RV-Xの概要と試験内容
RV-Xは全長7.3メートル、直径1.8メートルの小型実験機で、2016年から開発が始まった。約100回の再使用が可能なよう耐久性を高めたエンジンや、着陸時の衝撃を吸収する4本の脚を備える。試験は11日午前6時15分頃に打ち上げられ、轟音とともに上昇。水平に約16メートル移動後、ゆっくりと降下して着陸した。飛行時間は約40秒だった。
試験後に記者会見したJAXAの伊藤隆・研究開発マネージャーは「正常に試験を終え、次につながるデータが得られた」と手応えを語った。試験は今年3月の予定だったが、天候不順や地上機器のトラブルなどで5回延期。JAXAは不具合修正や訓練をやり直し、この日に臨んだ。
世界の再使用型ロケット競争
再使用型ロケットは米スペースXが世界に先駆けて実用化。同社は2017年、主力ロケット「ファルコン9」の第1段ロケット再使用技術を確立し、人工衛星などの打ち上げ市場を席巻。昨年は世界の打ち上げの半数を超える160回以上を同社が行った。中国も再使用型の「長征10号B」を開発中で、国営新華社通信によると10日の初打ち上げで使用済み第1段ロケットを洋上回収に成功した。
一方、日本の主力ロケット「H3」は使い捨てのため、JAXAは国際競争力向上に向け次世代機を再使用型にすることも含めて検討している。また、RV-Xと同型のエンジンを搭載した試験機「CALLISTO(カリスト)」を独仏と共同開発中。今年度には初飛行試験を南米の仏領ギアナで行う予定で、今回よりも高い飛行高度を目指す。
民間の取り組みと展望
民間でも再使用型ロケット開発が進み、本田技術研究所が昨年6月、国内企業として初めて離着陸実験に成功した。金沢工業大の森合秀樹教授(推進工学)は「再使用型の技術獲得は、世界に対抗していくために不可欠だ。まだ時間がかかると思うが、民間を含めた開発の進展に期待したい」と述べている。



