車椅子で買い物をした際、店員さんが袋詰めに使うサッカー台までカゴを運び、取り出しやすいよう、あえてカゴを横に倒して置いてくれたというエピソードと写真がThreadsに投稿され、反響を呼んでいる。亞依さん(@ai_5296)が投稿したこの出来事には2.7万いいねが集まった。
当事者だからこそ気づく買い物の苦労
車椅子で買い物をする際、サッカー台ではどのような不便があるのか。亞依さんは「サッカー台は基本的には立った状態で使うことを前提に作られているので、自身でカゴを運んだ時も、中身によりますが手前に倒して使います」と説明する。ロールされたビニール袋を取る際、届かなかったり、位置によってはズレていて使えなかったりすることもあるという。また、足元が壁状のものがほとんどで、車椅子を横付けしなくてはならず、上半身をひねることになり使いづらいと感じるそうだ。
一方で「店舗によっては足元を空けてくださっているところもあり、真っ直ぐに車椅子ごと近寄れる台もあります。特定の店舗では車椅子用の低いサッカー台を置いてくださっているところもあり、とてもありがたく思います」と話す。
店員の行動に「涙が出そうに」
今回、店員さんがサッカー台までカゴを運んでくれた時の状況について、亞依さんは「該当店舗にはよく行っていました。会計を済ませた時、『あちらへ置いておきますね!』とカゴを運んでくださいました」と振り返る。そこまでは他店でもやっていただけることが多く、お礼を伝えて財布をしまい、サッカー台へと思い目をやると、カゴを手前に倒してくださっていたという。「思わず『えっ!』と驚き、とっさに写真を撮りました」と当時の驚きを語った。
後日、その事実をお伝えしに店舗に伺い、当時のレジ担当の方に直接お礼も含めて、バズったことも伝えたそうだ。店員さんは「過去に来店した時に、わたしがサッカー台でカゴを手前に倒しているのを見ておられたようで、今回たまたまレジにわたしが現れたのでそのようにしました」と話していたという。
何も伝えていないのに、カゴを取り出しやすいように置いてくれたと気づいた時、亞依さんは「もともと通っていたお店ではありましたが、カゴを運んでくださるだけでも助かるのに、さらに手前に倒して下さる方がいるなんてと、相手の立場や状況に合わせて動いてくださったことに感動し、涙が出そうになりました。昨今、声かけをしてやってくださる方は多くいますが、何も伝えていないのに! と感激したのを今でもはっきりと覚えています」と語る。
車椅子ユーザーとして伝えたいこと
普段の買い物や日常生活で、車椅子ユーザーとして困ることはあるか尋ねると、亞依さんは「ここ数年目立つのは、車椅子用駐車スペースに該当者以外の方が、近いから、空いているからと平気で停めてしまうケースです」と指摘。「なぜ車椅子用の駐車スペースはあれだけの幅をとっているのか、少し考えて利用して欲しいです」と訴える。
また、普通の個室でも問題なく済ませられる人が、多目的トイレを本来の利用目的以外にも、お化粧直しや着替えなどに利用されていることが散見されるという。「そこしか使えない人がいると言うことを広く周知させたい気持ちと、配慮が出来ない人が昨今増えたなと思う悲しい気持ちが入り混じっています。この記事を読んでくださった方には、今一度ご自身や周りの方と話をするきっかけとなれば幸いです」と話す。
SNSの反響と今後の思い
今回の投稿に多くの反響が寄せられたことについて、亞依さんは「同業者さまと思われる方々が『気づかなかった! やってみます!』と書かれていたり、発信して良かったなと思えるコメントが山のように届いて感動しました」と喜びを語る。「程度にもよりますが、障がいがあるから出かけられないと思っている方々にもこの投稿が届いて、想像しているより世の中には優しい人がいるということが伝われば良いなと感じています」と話す。
亞依さんは介助者がいなくても一人でどこへでも出かけるタイプだが、「なんでも1人でできる」のではなく、行く先々で「出会った方にいろんなお願いをして、助けてもらいながら」外出を楽しんでいるという。「わたしの何気ない投稿が誰かの心に残り、誰かの行動につながったとしたら、本当に幸せなことです」と語る。
「わたしは先天的な障がいを持って生まれましたが、それは不幸なことではありません。そして人(誰か)とつながることが大好きだし、わたしだからこそ伝えられることも多くある。わたし以外の上手く伝えられない当事者さまの意見を届ける役目も担っていると思って、日々過ごしています」と話す。
「できないことを指折り数えるのではなく、できることを数えたら、何気ない日常が奇跡のように幸せなんだと気づくと思うんです。障がい者に厳しく意地悪な方、無関心な方もいるのは事実です。でもわたしはそっちに引っ張られることなく、こうしてさりげない優しさでわたしの日常を支えてくださる方に感謝して、これからも人生を謳歌していこうと思っています」と締めくくった。
亞依さんはエネルギーワーカーとして活動しており、セラピストとしてだれかの背中をそっと押せるように、日々継続して言葉を綴っている。BlogやInstagramでも発信している。