政府の観光支援策「九州ふっこう応援割」が10月1日に始まり、最初の週末となった3日、九州各地は大勢の人出でにぎわった。宿泊料金への補助率は、地震による宿泊キャンセルが多かった熊本県と鹿児島県が6割で、インターネットサイトでの予約はほとんどがすぐに完売した。
熊本・阿蘇では県外ナンバーが目立つ
3日午前、「道の駅阿蘇」(熊本県阿蘇市)の駐車場は、「大分」「佐賀」など県外ナンバーが目立った。愛知県江南市の会社員(59)は応援割で訪れ、「被災地のためにもなるいい機会。宿泊代も半額以下になった。明日は宮崎県のホテルに泊まる予定だ」と笑顔だった。阿蘇山の草千里ヶ浜にも多くの観光客が詰めかけ、広大な自然を撮影するなどして楽しんでいた。
鹿児島では独自の割引も実施
鹿児島県では応援割に先立ち、9月中旬から同じ6割引きとなる県独自の「かごしま観光応援割」を実施。3日、JR鹿児島中央駅近くの歴史観光施設「維新ふるさと館」(鹿児島市)では、多くの家族連れが展示に見入っていた。
同館によると、地震で九州新幹線が不通となり、来館者数は約2割減った。新幹線の再開後、客足は戻りつつあるといい、福重義隆副館長は「県や国の観光支援策を活用して、多くの人に鹿児島の歴史に触れてほしい」と呼びかけた。
予約サイトは即完売、期待の声
応援割は今月1日から始まり、鹿児島県は今月14日から開始する。補助率は、熊本県と鹿児島県は6割で、ほか5県は5割。宿泊料金から割り引く。9月中旬から下旬にかけて、旅行会社のサイトと宿泊施設で予約と販売の受け付けが始まった。サイトは完売し、一部宿泊施設も埋まった。
サイト予約では、宮崎県分が5分足らずで売り切れ、県観光推進課の担当者は「プロ野球キャンプだけでなく、秋の行楽シーズンもにぎわう」と期待を込める。大分県分は、10分ほどで完売した。佐賀県分も15~20分で埋まり、県観光課の担当者は「問い合わせが相次ぎ、関心の高さを感じる」と強調した。
熊本県分も1時間弱で売り切れた。県観光振興課国内観光推進室の中野公彦室長は「夏休みのかき入れ時に失った観光需要を回復したい」と述べた。
キャンセル被害と回復の動き
地震発生以降、九州7県で宿泊キャンセルが続いた。読売新聞が各県に取材したところ、少なくとも計約58万7000件で、金額は総計約71億円に上った。
地震の影響で団体旅行など約1600万円分のキャンセルが出たホテル白菊(大分県別府市)では2週間分の予約が1日で入り、キャンセル分を取り戻したという。取締役の西田吉徳さん(35)は「想定を上回る。観光施設がにぎわい、九州の活性化につながってほしい」と力を込めた。
ホテルアレグリアガーデンズ天草(熊本県天草市)の予約分は、受け付け開始後約4時間で完売した。地震後、8月の宿泊者数は例年の半分に落ち込んだが、今月は例年並みの予約という。近藤和泰総支配人(53)は「応援割がなければ間違いなく予約が伸びなかった。天草の魅力を知ってもらうことでリピーターにつなげたい」とした。一方で、「今でもたまに地震が起きる。応援割が終わったらまた宿泊者が減るかもしれない。行政には息の長い支援をお願いしたい」と訴えた。
長崎ではクーポン不足で混乱も
九州ふっこう応援割では、予約方法に振り回された宿泊施設も出た。ホテル長崎(長崎市)は、直接予約を受け付けた。今井義謙支配人(58)によると、予約開始日には多くの問い合わせで、電話がパンク状態になったという。
長崎県は、予約後に専用サイトでクーポンを先着順に取得することで割引が完了する仕組みを導入。ただ、総予約数がクーポン数を上回り、予定したクーポンは約30分で終了した。同ホテルでも、実際に割引の対象になる予約は約30件にとどまり、今井支配人は「クーポンはすぐになくなり、キャンセルにつながった。応援割の恩恵はあまり感じられていない」と話す。
ガーデンテラス長崎ホテル&リゾート(同市)でも約150件の予約が入ったが、クーポンで割引を適用できたのは20件余りとなった。ほとんどがキャンセルになったという。