TikTokで男性向け香水の斬新な使い方が話題に
中国系動画共有サイト「TikTok」で、10~20代の男性たちが斬新な香水の利用法に夢中になっている。それは「自分に100回スプレーする」というもの。インフルエンサーのオーバースプレー・ジェイ氏(33)は、フォロワーに対して極めて具体的なアドバイスを提供し、男性向け香水販売の有力な担い手となっている。彼の決めぜりふは「香りを振りまいて目立っていないなら、本当に香水をつけてると言えるのか」という問いかけで、存在感をアピールするためにどんどん香水をつけるよう推奨している。
このアプローチは、かつての男性向け香水の売り込み方とは大きく異なる。以前はアウトドア活動や鍛え上げられた肉体、そして「男らしい」香りを前面に押し出した広告が中心だった。現在のアプローチはより洗練されており、認知度の高い単一のコロンをつけるのではなく、複数の香水やコロンを重ねづけして自分だけの香りを生み出すことが男性たちに勧められている。
TikTokがけん引する男性向け香水ブーム
このトレンドは化粧品メーカーに恩恵をもたらしており、消費者は一つの商品だけでなく複数の商品を購入するようになった。購入品にはローションや高級デオドラント、ボディーソープなども加わることが多い。ブルームバーグ・ニュースが「Charm.io」のデータを分析したところ、TikTokで男性向け香水を宣伝するインフルエンサーの数は、2024年4月から2025年4月までの間に約12倍に増加した。一方、女性向け商品を宣伝するインフルエンサーは約8倍の伸びにとどまっている。
企業とインフルエンサーは共に、米国で続く新型コロナ禍後のフレグランスブームで、とりわけ男性需要の拡大を取り込もうとしている。Charm.ioによると、TikTokのショッピングプラットフォームでは、男性向け香水の月間支出額が過去約2年間にわたり女性向け香水を上回っており、2025年11月には売上高が1800万ドル(約29億円)に達し、記録を更新した。
市場の急成長と業界への影響
アナリストらによれば、需要急増は、化粧品大手エスティローダーがスペインのプーチ・ブランズ買収に関心を示した理由の一つ。プーチはフレグランスブランド「ペンハリガン」「バイレード」「ラバンヌ」「ジャンポール・ゴルチエ」などを保有しており、2024年の高級男性向け香水市場で16%のシェアを持つ2位の企業だった。エスティローダーとプーチは数カ月にわたる交渉の末、統合協議を打ち切ったが、市場の関心の高さを示している。
アーカンソー州フェイエットビルに住むインフルエンサー、エヴァン・ホール氏(23)は、「@fragranceknowledge」として投稿しており、TikTokのフォロワー110万人の大半は18~24歳の男性だという。彼らは製品に創造性や革新性を求めており、それが感じられない場合は容赦がないと同氏は語った。ブランドが既存香水の派生商品、いわゆる「フランカー」を発売すると、単なる金もうけと見なされることがある。「多くの市場参加者は見抜いている」とホール氏は話した。
このように、TikTokを中心とした男性向け香水市場は、従来のマーケティング手法を覆す新たなトレンドを生み出し、急成長を遂げている。今後もインフルエンサーの影響力と消費者の創造性が市場を牽引していくとみられる。



