前下妻市長の須藤豊次氏(67)の死去を巡り、SNSで外国人の不法就労などと関連づける偽・誤情報が拡散された問題で、読売新聞社が関連投稿を分析したところ、市内で外国人支援に取り組む団体がSNSで誹謗(ひぼう)中傷にさらされていたことが分かった。団体を運営する女性(58)が取材に応じた。
SNSで中傷投稿が拡散
「自分の行為が、日本を壊してることに自覚ないのが最低最悪だよ」「良いことしてる風だけど これダメだろ」――。読売新聞社が、米メルトウォーター社の分析ツールを使って、X(旧ツイッター)での投稿を抽出したところ、団体や代表女性を批判する投稿がみられた。約1000回リポスト(再投稿)されたものや、約82万回閲覧されたものもあった。いずれも須藤氏の死去後で、投稿への返信では「下妻市長が殺されたのも分かる気がする」「深掘りしたら市長が亡くなったのとつながりそう」などと須藤氏の死去と関連づけるものもみられた。
団体の活動と女性の思い
団体は、外国人の行政手続き支援や病院への付き添いなどをするほか、日本人から寄せられる外国人住民に対するごみ出しや騒音などの住民トラブルの相談にも乗っている。女性は「時に批判されることはあったが、前市長が亡くなってから、より注目されるようになった」と話す。女性は、SNSでの投稿を「あまり見ないようにしている」が、心配した家族からは「外国人支援をやめてほしい」と言われたという。
須藤氏の死去後、Xでは死と外国人の不法就労などを関連づける投稿が拡散した。中には「移民に反対した市長が暗殺された」などとする投稿もあり、多く再投稿された。
須藤氏との交流と偽情報への憤り
須藤氏と交流があった女性は「外国人に対して排外的な態度ではなかった」と振り返る。須藤氏就任後の5月末に面会し、外国人に関する内容のほか、子育て支援や子ども食堂といった自身の活動について意見を交わした。その際、須藤氏から「これから色々なサポートをする」と励まされたという。
女性は、須藤氏を巡る偽・誤情報、根拠不明情報の拡散について「憤りを感じる。前市長の家族が嫌な思いをする発言は控えるべきだ」と述べた。「コンビニ店、農業や建設業では、労働力として携わる外国人は多い。私たちの生活は外国人に助けられており、支え合って生きていくことが重要だ。これからも外国人の生活と日本人が抱く困りごとを支援していきたい」と女性は力を込めた。
行政への影響と社会への問いかけ
山下法相は29日、SNSでの誹謗中傷に対する損害賠償請求額の引き上げなどに向け、民法改正の研究会を設置すると発表した。
今回の取材では、須藤氏死去後の約半月、下妻市役所に一方的な主張を高圧的に話し続ける電話がやまず、業務に支障をきたしたことも判明した。下妻の地で突如起きた「炎上」は、日本のSNS社会のあり方を問いかけている。