経済産業省は、新築住宅への電気自動車(EV)充電器の設置義務化を当初予定の2026年4月から延期する方針を固めた。また、同時に検討されていたエネルギー効率基準の見直しも先送りされる見通しだ。これは、住宅業界から設置コストや技術的な課題に対する懸念が相次いだことを受けた措置である。
延期の背景と新たなスケジュール
義務化の延期は、2025年度中に予定されていた制度開始を少なくとも1年程度遅らせる方向で調整が進められている。経済産業省は、2024年夏までに新たなスケジュールを公表する予定だ。延期の主な理由として、住宅メーカーや工務店から「充電器の設置スペースの確保が難しい」「既存の電気容量では対応できないケースがある」などの指摘が上がっていたことが挙げられる。
また、エネルギー効率基準に関しても、現行の基準が2025年までに達成すべき目標として設定されていたが、達成が困難な状況にあることから、基準の見直しとともに達成期限の延期が検討されている。特に、断熱性能や省エネルギー設備の導入に関する基準が厳格すぎるという声が業界から出ていた。
住宅業界とEV市場への影響
この決定は、日本のEV普及戦略に影響を与える可能性がある。日本政府は2035年までに新車販売の100%を電動車にする目標を掲げているが、充電インフラの整備が遅れることで、消費者のEV購入意欲が減退する懸念がある。一方、住宅業界からは「準備期間が延びることで、より合理的な導入が可能になる」と歓迎する声も聞かれる。
業界団体である日本住宅建設業協会の担当者は「充電器設置の義務化自体は必要な施策だが、技術的・コスト的なハードルをクリアするための十分な猶予が必要だ。今回の延期は適切な判断だ」とコメントしている。
今後の見通し
経済産業省は、延期期間中に業界との協議を進め、充電器設置に関する技術的なガイドラインの策定や補助金制度の拡充を検討する方針だ。また、エネルギー効率基準については、国際的な動向も踏まえながら、現実的な目標値への修正を目指す。
EV充電器の設置義務化は、2021年に成立した「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」の改正に基づくもので、当初は2024年4月からの施行が予定されていたが、その後2026年4月に延期され、今回さらなる延期が決まった形だ。



