ヤマハ発動機は7月23日、スカラロボット(水平多関節型ロボット)の新製品「YE4」「YE10」と、対応コントローラ「RCX440」を発売したと発表した。中国を中心とするアジア地域向けに、高い動作性能とコストパフォーマンスを両立したモデルとして展開する。
既存シリーズの性能をベースにコスト削減
「YE4」および「YE10」は、高い生産能力を備える既存の「YK-XE」シリーズの性能をベースに、要素部品を見直すことで連続運転性の向上と低コスト化を図ったモデル。中国を中心に、ASEAN、インド、日本などのアジア地域に向け、コストパフォーマンスを重視する顧客層へ展開する。
同社によると、NEV(New Energy Vehicle:新エネルギー車)の普及拡大や世界的な人手不足を背景に、製造工程の自動化に貢献するスカラロボット市場は活況を呈しているという。
車載電子部品やリチウムイオン電池向け需要拡大
スカラロボットは、スマートフォンやPCなどの電気・電子部品分野で幅広く活用されてきたが、近年は用途が広がりを見せている。特に、リチウムイオン電池のモジュール組み立てや、パワー半導体の配置といった車載電子部品分野で需要が拡大しており、NEVや電動化関連部品の生産が増える中、安定した高速動作と高い位置決め精度を備えたロボットの需要が高まっている。
また、クリーンルーム環境での自動化ニーズが高まる食品、医薬品、化粧品といった分野の製造工程でも、スカラロボットの導入が進んでおり、人手不足への対応だけでなく、品質の安定化、作業の標準化、衛生管理の高度化といった観点からも、自動化の需要が広がっている。
YE4は4kg、YE10は10kgの可搬質量
最大可搬質量はYE4が4kg、YE10が10kgであり、小型部品の組み立て、箱詰め、仕分け、検査など幅広い用途を想定している。標準サイクルタイムは、YE4が0.40秒、YE10が機種により0.36~0.42秒としており、生産性向上に貢献する。精密部品の組み立てやシーリングなどで求められる高い繰り返し位置決め精度も備える。
また、モーターの放熱性を高めることで連続運転性能を向上させた。量産現場では、ロボットを長時間安定して稼働させることが生産効率や設備稼働率に直結するため、連続運転性の向上は重要な要素となる。
RCX440で導入コストを抑え分解能向上
一方の対応コントローラ「RCX440」は、現行の多軸コントローラ「RCX340」の操作系を継承することで、新製品への移行を容易にした。回転センサを従来のレゾルバからエンコーダへ変更しており、これによりセンサの分解能を向上させるとともに、電子回路および筐体構造を最適化し、部品点数の削減による低コスト化を実現した。
また、既存のRCX-Studio、PBX、I/Oインタフェースを継続して活用できるため、追加のソフトウェアやティーチペンダントを購入せずに導入できる。既存設備や既存開発環境を生かしながら移行できる点は、設備投資を抑えたい製造現場にとって利点となる。
原点出し不要で立ち上げ時間短縮
さらに、原点位置情報を保持するアブソバッテリーの消費電力も低減しており、必要なバッテリー個数の削減を実現し、スカラロボット側にバッテリーを搭載できるようにした。これにより、据付や移設時に原点出し作業が不要となり、立ち上げ時間の短縮を可能とした。生産ラインの変更や設備移設が発生しやすい現場では、ロボットの再立ち上げにかかる工数を減らせることが、ライン停止時間の短縮につながる。
1976年の自社工場導入から製品群を拡充
ヤマハ発動機のスカラロボットは、1976年に自社工場へ導入されたことを起点に、市場ニーズに応じて製品群の拡充を推進。今回の高い動作性能と低コストを両立したYE4/YE10の投入により、アジア地域における自動化需要の取り込みを本格化させていく構えである。



