三重県は、県内で相次ぐクマの出没事例を受け、四足歩行ロボットやドローンなどの先進技術を活用した講座を熊野市で開いた。人口減少と高齢化でハンターの担い手不足が進む中、実用化は当面先と見られるものの、ロボットによる負担軽減と住民の安全確保に期待がかかる。
クマ出没の現状
県内のクマ出没件数は、2017~22年度は10~20件台で推移していたが、23年度に40件、24年度は162件に急増。25年度は98件で、今年度は23日時点で37件に上っている。20日には尾鷲市の民家裏でツキノワグマが捕獲用わなにかかり、市街地に出没したクマなどに猟銃を発砲する緊急銃猟が県内で初めて実施された。けが人も出ており、24年8月には大紀町で70歳代女性が襲われ、重傷を負った。
ロボットの可能性
講座では、東京農業大学の左村公准教授(農村計画学・農業情報工学)が講演。犬ほどの大きさの四足歩行ロボットに強い光を放つ「フラッシュライト」や大きな音を出すスピーカー、スプレーを搭載し、パトロールや追い払いへの活用を提案した。四足歩行ロボットで集団をつくり、ハンターの20~30メートル前方を歩かせることで、クマとの不意の遭遇時にロボットが対峙し、人間が退避する猶予を作れるという。左村准教授は「緊急銃猟を発動しなくても済むようにすることが目的。ロボットは人の防波堤になる」と強調した。ただ、人間をクマと誤認しないようにするなどの課題もある。
一方、NTTドコモビジネス(東京)はドローンを使ったクマの探索・追い払い事例を報告。人間の目には見えない赤外線を検知する「サーマルカメラ」により、夜間や草むらに隠れたクマも探し出せ、従来の人間中心の探索より安全面の向上と効率化が見込めるとした。
参加者の声
参加者は、クマ対策の苦労や悩みを共有する時間も設けられた。「目撃情報があった後、クマの行方や行動範囲が分からない」「クマの凶暴さがよく分からない」などと付箋に書き込んだ。県猟友会紀南支部の会員の男性(70)は「高齢化 メンバーの減少」と記し、自身の体力や若い世代の狩猟離れへの不安を明かし、「科学技術を使えれば、クマの行動パターン把握につながるはずだ」と期待を寄せた。



