溶接未経験の小学生が、わずか10分のレクチャーを受けただけで溶接作業を完成させた。熟練技術が必要だった溶接を、経験のない人でも担える――そんな仕組みが製造業の現場で実用化され始めている。
遠隔操作用溶接ロボット「WELDEMOTO」を開発
1970年代から産業用ロボット事業に取り組んでいる高槻工業(兵庫県西宮市、社長・髙橋繁浩氏)は、2024年に遠隔操作用溶接ロボット「WELDEMOTO」を開発した。
作業者が複数台のカメラで溶接箇所をさまざまな角度から確認しながら、PC上で溶接範囲の始点と終点を指定すると、ロボットが自動で溶接を行う。インターネット環境があれば、離れた場所からでも作業できる。
小学生や50代女性が実演、熟練技術不要を実証
2025年の大阪・関西万博にブース出展した際、溶接経験のない小学生や50代女性が実際にWELDEMOTOを操作し、遠隔で溶接作業を完成させた。熟練技術が必要とされてきた溶接のあり方を変える可能性を示した。
そして2026年7月、このWELDEMOTOが宝塚合金製作所(兵庫県宝塚市)に導入された。同社は1929年創業の老舗企業で、銅合金の鋳造から機械加工まで手掛けている。
導入のきっかけは熟練者の退職
導入のきっかけは、同社で長年にわたり溶接工程を1人で担ってきた責任者の退職だった。同社では顧客ごとに仕様が異なる多品種少量生産の部品を多く手掛けており、溶接条件も品種ごとに異なる。そのため技術の習得に時間がかかり、一時は外注に頼らざるを得ない状況だった。
こうした「技術者不足」と「技術継承」は、多くの中堅・中小企業が抱える共通課題だ。
ロボット導入の背景と今後の展望
高槻工業はなぜ遠隔溶接という技術にたどり着いたのか。また、宝塚合金製作所がロボット導入に至った背景とその経緯について、高槻工業の専務取締役・髙橋繁浩氏、宝塚合金製作所の宝角勝利社長と同社取締役・宝角敬士氏に話を聞いた。



