トランプ前大統領が掲げる関税政策が、半導体業界に深刻な影響を及ぼしている。エヌビディア、AMD、インテルの3社は、最大で1兆円を超える損失を被るリスクに直面している。特にエヌビディアは、AI向け半導体需要に依存しており、中国向け輸出規制の強化が直撃する見通しだ。
エヌビディアの中国依存リスク
エヌビディアは、2023年度の売上高の約20%を中国市場に依存している。トランプ前大統領は、中国からの輸入品に対して最大60%の関税を課す方針を示しており、これが実現すればエヌビディアの売上高は約1兆5千億円減少する可能性がある。また、同社のAI向け半導体「H100」は、中国向け輸出規制の対象となっており、低スペック版の「H800」も規制の網にかかっている。
AMDとインテルへの影響
AMDは、中国市場での売上高比率が約15%とエヌビディアほどではないが、それでも影響は避けられない。同社のCPUやGPUは、中国のデータセンター向け需要に支えられており、関税が課されれば競争力が低下する。一方、インテルは中国での売上高比率が約25%と高く、特にPC向けCPUで大きな打撃を受ける。インテルはすでに業績低迷に苦しんでおり、関税が追い打ちをかける形となる。
半導体業界全体のリスク
半導体業界全体としても、トランプ関税はサプライチェーンの混乱を招く。台湾のTSMCや韓国のサムスン電子など、主要な半導体メーカーは中国市場に依存しており、関税が課されれば世界中の半導体価格が上昇する可能性がある。また、米国企業の競争力低下は、中国の半導体メーカーに追い風となる。中国のSMICは、米国の規制をかいくぐりながら技術向上を進めており、関税が中国企業の追い上げを加速させる恐れがある。
投資家の警戒感
こうしたリスクを背景に、半導体株は下落傾向にある。エヌビディアの株価は、2024年に入ってから約10%下落している。投資家の間では、トランプ前大統領の政策が実現すれば、半導体業界の成長鈍化は避けられないとの見方が広がっている。アナリストの中には、エヌビディアの売上高成長率が2025年には半減すると予測する声もある。
トランプ前大統領の関税政策は、国際的な半導体サプライチェーンを根本から変える可能性がある。米国企業の競争力低下は、長期的には米国の技術覇権を揺るがしかねない。半導体業界は、今後の政治動向を注視しながら、リスク分散を急ぐ必要がある。



