トヨタ自動車とNTTが、自動運転技術に特化した人工知能(AI)半導体の共同開発で基本合意したことが、複数の関係者への取材で明らかになった。両社は、トヨタが持つ車両制御技術とNTTの光電融合技術を組み合わせ、従来比で消費電力を数分の一に抑えた高性能チップの実用化を目指す。2028年までの製品化を目標に、2025年にも共同開発会社を設立する方向で調整している。
自動運転の核心技術、省エネと高性能を両立
自動運転車には、周囲の状況を認識するための膨大な画像処理や、瞬時の判断を下すAI処理が求められる。現在の半導体では消費電力が大きく、車両の航続距離や発熱が課題となっていた。トヨタとNTTは、光信号を用いる「光電融合技術」をAI半導体に応用することで、データ転送の高速化と大幅な省電力化を同時に実現する計画。これにより、自動運転の信頼性向上と、電気自動車(EV)の航続距離延伸に貢献する。
トヨタはこれまでも、自動運転技術の開発を自社で進めてきたが、AI半導体の分野では外部との連携を強化。NTTは2024年に「NTT Research」を通じて光電融合技術の実証に成功しており、両社の協業は自動運転業界に大きな影響を与える可能性がある。
2025年に新会社設立、国内外の自動運転市場を視野
トヨタとNTTは、2025年にも新会社を設立し、開発を本格化させる方針。新会社には両社から技術者を派遣し、ソフトウエアとハードウエアの両面から開発を加速する。また、トヨタは自動運転技術を搭載した車両を2020年代後半に市場投入する計画で、今回の半導体開発はその中核を担う。
自動運転市場は、米テスラや中国の百度(バイドゥ)などが先行する。日本勢が競争力を高めるには、独自の高性能半導体が不可欠とされる。トヨタとNTTの提携は、官民挙げての半導体戦略とも連動し、日本の自動車産業の競争力強化に寄与する可能性がある。
トヨタの広報担当者は「自動運転の実現には、車両制御とAI処理の両方を高度に統合した半導体が必要。NTTの光電融合技術は革新的であり、協業により業界をリードするソリューションを提供したい」と述べている。
光電融合技術がもたらす半導体の革新
光電融合技術は、電子回路と光回路を同一チップ上に集積する技術で、データ転送のボトルネックを解消する。NTTは、この技術を用いたプロセッサで、従来比で消費電力を3分の1に削減できるとしている。自動運転車では、複数のカメラやLiDAR(ライダー)からのデータをリアルタイムで処理する必要があり、光電融合技術のメリットは大きい。
両社は、2028年までに量産化技術を確立し、トヨタの高級車ブランド「レクサス」などへの搭載を検討している。また、他の自動車メーカーへの供給も視野に入れ、半導体の外販も計画している。



