ソニーグループの半導体子会社、ソニーセミコンダクタソリューションズは、熊本県菊陽町に第2工場を新設し、2027年に稼働を開始する計画を正式に発表した。同社は現在、菊陽町に既存の工場を保有しており、新工場は隣接地に建設される。投資総額は約1000億円と見込まれ、車載向けイメージセンサーの生産能力を現在の2倍に引き上げることを目指す。
熊本第2工場の詳細と投資規模
新工場の建設は、自動運転技術の進展に伴う車載カメラ向けセンサーの需要急増に対応するものだ。ソニーセミコンダクタソリューションズの代表取締役社長である清水照士氏は、「車載イメージセンサー市場は今後5年間で年率15%以上の成長が見込まれる。第2工場により、顧客の需要に確実に応えられる体制を整える」と述べている。
工場の敷地面積は約15万平方メートルで、クリーンルーム面積は既存工場の約1.5倍となる。生産するイメージセンサーは主に自動運転レベル3以上の車両向けで、高ダイナミックレンジやノイズ低減性能が求められる。また、同工場では再生可能エネルギーを100%使用し、二酸化炭素排出量の削減にも貢献する方針だ。
車載イメージセンサー市場の拡大
自動運転技術の進化に伴い、1台の車両に搭載されるカメラの数は増加の一途をたどっている。現在のレベル2の自動運転車では平均4〜6台のカメラが搭載されているが、レベル4以上では12台以上になるという。ソニーは車載イメージセンサーで世界シェア約40%を誇り、首位を走る。同社は2025年度までに車載センサー事業の売上高を現在の2倍の4000億円に引き上げる目標を掲げている。
新工場の稼働により、ソニーは年間約2億個のイメージセンサーを生産可能になる見込みだ。これにより、競合するオン・セミコンダクターやオムニビジョン、サムスン電子などに対し、生産能力で優位に立つことができる。
地元経済への波及効果
熊本県はソニーの工場誘致により、雇用創出や関連産業の集積が期待されている。菊陽町の町長は「第2工場の建設により、約3000人の新規雇用が見込まれる。地域経済の活性化に大きく貢献する」とコメントしている。また、熊本県は半導体関連企業の誘致を積極的に進めており、台湾のTSMCも熊本県菊陽町に工場を建設中だ。ソニーの第2工場は、こうした半導体クラスターの形成をさらに加速させるだろう。
今後の見通し
ソニーセミコンダクタソリューションズは、車載向けに加えて、スマートフォンや産業機器向けのイメージセンサーも生産しており、第2工場では一部の生産ラインを車載向けに特化する予定だ。2027年の稼働開始までに、さらに需要動向を見極めながら投資規模を拡大する可能性もある。同社は「顧客のニーズに応じて柔軟に対応する」としており、自動運転技術の普及とともに、さらなる生産能力増強も視野に入れている。



