半導体不足が解消へ、自動車業界に追い風 2025年には供給過剰の懸念も
半導体不足解消へ、自動車業界に追い風 25年供給過剰懸念

世界的な半導体不足がようやく終息の兆しを見せている。2024年に入り、自動車メーカー各社は生産台数を回復させており、業界全体に追い風が吹いている。しかし、専門家の間では、2025年には需要減退により半導体の供給過剰に転じる可能性があるとの警告も上がっている。

半導体不足の経緯と現状

2020年後半から続いた半導体不足は、コロナ禍でのデジタル需要急増や自動車の電動化・自動運転化に伴う需要拡大が背景にあった。自動車業界では、必要な半導体が確保できず、世界的に生産調整を余儀なくされた。トヨタ自動車は2021年から断続的に工場のライン停止を実施し、2022年度の世界生産は過去最高を記録したものの、需要に応えきれない状況が続いた。

しかし、2023年後半から状況は改善に向かい始めた。半導体メーカー各社が増産投資を進めたことに加え、パソコンやスマートフォン向け需要の鈍化が、自動車向けの供給余力を生み出した。調査会社のデータによると、2024年1-3月期の自動車向け半導体供給量は前年同期比で約15%増加している。

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自動車メーカーの生産回復

半導体不足の緩和を受け、自動車メーカーは生産を本格回復させている。トヨタは2024年度の世界生産計画を過去最高の約1100万台に設定。日産自動車も2024年度の生産台数を前年比5%増の約350万台と見込む。ホンダも同様に増産計画を発表しており、各社とも納期短縮や受注再開に踏み切っている。

部品メーカーにも波及効果が及んでいる。デンソーは2024年3月期の営業利益が前期比20%増の見通しを示し、供給正常化による生産効率向上を理由に挙げた。自動車ディーラーからは「在庫が戻り始め、顧客への納期回答がスムーズになった」との声が聞かれる。

2025年に向けた供給過剰リスク

一方で、楽観視できない見方もある。半導体業界アナリストは「2025年には自動車向け半導体が供給過剰になる可能性が高い」と指摘する。理由として、半導体メーカーが積極的に増産投資を進めた結果、生産能力が需要を上回るペースで拡大していることが挙げられる。さらに、世界経済の減速懸念から自動車需要自体が伸び悩むリスクもある。

実際、国際半導体製造装置協会(SEMI)の予測では、2024年の半導体設備投資額は前年比14%増の約1100億ドルに達する見込み。これに対し、自動車販売台数の伸びは年率2-3%にとどまるとみられ、需給ギャップが拡大する可能性がある。

業界への影響と今後の展望

供給過剰が現実化すれば、半導体価格の下落や在庫調整が発生し、半導体メーカーの収益を圧迫する。自動車メーカーにとっては調達コスト低下の恩恵がある一方、過剰在庫を抱えるリスクも生じる。

「半導体不足は一過性の現象ではなく、構造的な需給変動の一部と捉えるべきだ」と、業界団体の幹部は語る。自動車業界は、長期的な視点で半導体調達戦略を見直し、在庫管理の高度化や複数サプライヤーからの調達体制構築が求められる。

2024年は生産回復の年となりそうだが、2025年には新たな課題が待ち受けている。自動車メーカーと半導体メーカーは、協調して需給バランスを調整する必要に迫られている。

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