世界的な半導体不足が長期化の様相を呈し、自動車業界に深刻な打撃を与えている。主要メーカーは生産調整を余儀なくされ、特にトヨタ自動車は2023年度の生産計画を下方修正せざるを得なくなった。この状況は、パンデミック後の需要回復と半導体製造能力の不足が重なった結果であり、業界全体のサプライチェーンに大きな影響を及ぼしている。
減産の実態と影響
トヨタは2023年9月、国内外の工場で最大40%の減産を実施すると発表した。これにより、年間生産台数は当初計画の970万台から約900万台に減少する見通しだ。同社の広報担当者は「半導体の調達が計画通りに進まず、やむを得ない判断」とコメントしている。この減産は、部品メーカーやディーラーにも波及し、雇用や収益に悪影響を与えている。
半導体不足の背景
半導体不足の主因は、需要と供給のミスマッチにある。パンデミックでリモートワークやオンライン教育が普及し、パソコンやサーバー向け半導体の需要が急増した。一方で、自動車向け半導体は成熟技術であり、製造装置の投資が遅れていた。さらに、2021年の米国寒波や台湾の干ばつなど、自然災害による生産停止も追い打ちをかけた。調査会社IHS Markitによると、半導体不足により2021年の世界の自動車生産は約390万台減少した。
業界の対応策
自動車メーカーは、半導体の内製化や長期契約の締結など、調達戦略の見直しを進めている。トヨタは、半導体メーカーとの直接取引を拡大し、在庫の積み増しを図る。また、ホンダは、半導体の設計から製造まで一貫して手がける企業との提携を強化する。経済産業省も、国内半導体産業の復活を目指し、TSMCの熊本工場誘致など、官民連携の取り組みを加速している。
今後の見通し
半導体不足は、少なくとも2024年まで続くとの見方が強い。自動車業界は、供給制約の中でいかに生産を維持するかが課題となる。一方で、EVシフトや自動運転技術の進展により、車載半導体の需要は今後も増加が見込まれる。このため、長期的には半導体の安定調達が競争力の鍵を握ると言える。業界団体の日本自動車工業会は「サプライチェーンの強靭化が急務」と警鐘を鳴らしている。



