日産自動車は、電気自動車(EV)の普及を加速させる次世代バッテリー技術として、全固体電池を搭載した車両を2028年度に量産開始すると発表した。現行のリチウムイオン電池と比較して、充電時間を3分の1に短縮し、航続距離を2倍に延ばすことを目指す。
パイロットラインは2024年度稼働
日産は、全固体電池の量産に向けたパイロットラインを、神奈川県横浜市の拠点に2024年度に設置する。このラインでは、生産プロセスの検証やコスト削減のための技術開発を進める。同社は、全固体電池の量産技術を確立し、2028年度までに量産車への搭載を実現する計画だ。
全固体電池は、従来の液体電解質を固体に置き換えたもので、エネルギー密度が高く、安全性にも優れるとされる。日産は、この技術によりEVの航続距離を大幅に延ばし、充電時間を大幅に短縮することで、EVの普及における大きな障壁を克服したい考えだ。
現行リチウムイオンからの進化
日産は、現在販売中のリーフなどに搭載するリチウムイオン電池の改良も並行して進める。2026年度には、現行比でエネルギー密度を50%向上させた電池を搭載したEVを投入する予定。さらに、2028年度には全固体電池搭載車の量産を開始するというロードマップを示した。
同社の執行役員で、バッテリー事業を統括する山内康裕氏は、「全固体電池は、EVの性能を飛躍的に向上させる鍵となる技術だ。日産は、長年の研究開発の成果を実用化し、EV時代のリーダーシップを確立する」と述べた。
コスト削減と量産効果
日産は、全固体電池の量産開始時点で、現行リチウムイオン電池と同等のコストを実現する目標を掲げる。その後、量産効果や技術改良により、2028年度以降はさらにコストを低減し、EVの価格をガソリン車並みに引き下げることを目指す。
同社は、全固体電池の量産によって、2026年度までにEV販売台数を100万台以上に拡大する計画だ。これは、現在の販売台数から大幅な増加となる。
競合他社の動向
全固体電池の開発競争は世界的に激化している。トヨタ自動車も2020年代半ばの実用化を目指して開発を進めており、2025年までにハイブリッド車に搭載する計画だ。また、韓国のサムスンSDIやLGエナジーソリューションも、2027年以降の量産を目標に掲げている。
日産は、パイロットラインの早期稼働により、量産技術で先行し、競争優位を築きたい考えだ。同社は、全固体電池の生産効率を高めるため、独自の製造プロセスを開発している。
今後の展開
日産は、全固体電池の量産開始後、まずは高級車やスポーツタイプのEVに搭載し、その後、量産効果が進んだ段階で、より普及価格帯の車種にも拡大する計画だ。同社は、全固体電池を中核技術と位置づけ、電動化戦略を加速させる。
日産の電動化戦略は、2050年までのカーボンニュートラル実現に向けた取り組みの一環でもある。同社は、全固体電池の普及により、EVの利便性を向上させ、持続可能な社会の実現に貢献したい考えだ。



