東洋経済の報道によると、日本の半導体産業が復活の兆しを見せている。政府は半導体戦略として、2030年までに国内半導体関連売上高を15兆円に引き上げる目標を掲げ、補助金や税制優遇措置を講じている。特に注目されるのが、先端半導体の国産化を目指すラピダス(Rapidus)のプロジェクトだ。北海道千歳市に建設中の工場では、2027年までの量産開始を目指し、2ナノメートル世代の半導体製造技術の確立を進めている。
ラピダスプロジェクトの現状と課題
ラピダスは、トヨタ自動車やソニーグループ、NTTなど8社が出資する新会社で、経済産業省からも最大920億円の補助金を受ける。IBMとの協業により、2ナノメートル世代のGAA(Gate-All-Around)トランジスタ技術を導入する計画だ。しかし、技術者不足が深刻な課題となっている。半導体業界では、国内の人材不足が約4万人に上るとされ、ラピダスも海外からの技術者受け入れを検討している。
TSMCの熊本進出とその影響
台湾積体電路製造(TSMC)は、熊本県菊陽町に第1工場を建設中で、2024年の量産開始を予定している。ソニーやデンソーとの合弁で、車載用や画像センサー向けの半導体を製造する。第2工場の建設も検討されており、総投資額は1兆円を超える見込みだ。TSMCの進出により、関連企業の集積が進み、熊本県は「シリコンアイランド九州」の復活を期待している。
政府の支援策と産業界の反応
政府は2021年度補正予算で半導体関連に約1.9兆円を計上し、2022年度も追加支援を決定した。経産省の担当者は「半導体は経済安全保障の要。安定供給体制の構築が急務」と強調する。一方、産業界からは「補助金頼みではなく、民間主導の持続可能なビジネスモデルが必要」との声も上がる。半導体製造装置メーカーや材料メーカーにとっては、国内需要の拡大が追い風となる。
国際競争の激化と日本の立ち位置
米中対立の激化により、半導体を巡る国際競争は一層激しさを増している。米国はCHIPS法で約520億ドルの補助金を拠出し、台湾や韓国企業の誘致を進める。欧州も半導体法で430億ユーロの投資を計画。日本は後発ながら、先端技術への集中投資で巻き返しを図る。しかし、市場シェアは1990年の約50%から2022年には約10%に低下しており、復活への道のりは険しい。
半導体人材育成の取り組み
人材不足に対応するため、大学や高専では半導体教育の強化が始まっている。東京大学や東北大学は半導体コースを新設し、企業との連携で実践的な人材を育成する。また、経産省は外国人技術者の受け入れ拡大や、リスキリング支援を検討している。ラピダスの幹部は「人材確保が最大の課題。産学官連携で早期に解決したい」と語る。
今後の展望とリスク
日本の半導体復活には、技術開発、人材育成、国際協調の3本柱が不可欠だ。ラピダスが目標通り量産に成功すれば、日本は再び先端半導体の供給国として存在感を示せる。しかし、巨額の投資回収にはリスクが伴い、市場の需要変動や地政学リスクにも注意が必要だ。専門家は「一部の先端品に特化した選択と集中が鍵」と指摘する。



