EVシフトで変わる車載半導体、日本企業の競争力は?
EVシフトで変わる車載半導体、日本企業の競争力は?

電気自動車(EV)へのシフトが加速する中、車載半導体の需要構造が大きく変化している。従来のエンジン制御用マイコンに代わり、パワー半導体やセンサー、AI処理用チップの重要性が増している。日本企業はSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)といった次世代パワー半導体で強みを持つが、海外勢との競争は激化している。

EVで必要とされる半導体の種類

EVでは、バッテリーからモーターへの電力変換を効率的に行うインバーターや、DC-DCコンバーター、車載充電器などにパワー半導体が不可欠だ。従来のシリコン(Si)製に比べ、SiCやGaNは高電圧・高温動作に優れ、エネルギー損失を低減できる。また、自動運転やADAS(先進運転支援システム)の進化に伴い、LiDARやカメラ、レーダーなどのセンサー、それらを処理するAIチップの需要も急増している。

日本企業のポジション

パワー半導体分野では、ロームや三菱電機、富士電機などがSiCデバイスで先行。ロームは世界初の量産向けSiC MOSFETを開発し、EV向けに供給を拡大している。また、GaNではパナソニックや住友電気工業が強みを持つ。しかし、欧州のインフィニオンやSTマイクロエレクトロニクス、米国のオン・セミコンダクターなども積極投資しており、競争は激しい。

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センサー分野では、ソニーグループが車載カメラ用イメージセンサーで世界トップシェアを誇る。同社は高感度・高ダイナミックレンジのセンサーを提供し、自動運転の進化に貢献している。また、村田製作所やTDKは車載用センサーや電子部品で強みを持つ。

課題と今後の展望

日本企業の課題は、ソフトウェアやAI分野での遅れだ。自動運転用SoC(システムオンチップ)では、米エヌビディアやインテル(モービルアイ)が支配的。また、車載OSでは米グーグルのAndroid Automotiveが台頭している。日本勢はハードウェアに強みがあるが、ソフトウェアとの組み合わせが求められる。

さらに、半導体製造の地政学リスクも無視できない。台湾に依存する先端ロジック半導体の調達リスクを回避するため、日本政府はTSMCの熊本工場誘致やラピダスの設立を支援。車載向けでは、ルネサスエレクトロニクスが28nm世代のMCUを国内生産する計画だ。

EVシフトは車載半導体の需要構造を根本から変えつつある。日本企業はパワー半導体やセンサーで優位性を持つが、ソフトウェアやシステムインテグレーションでの競争力強化が急務だ。業界関係者は「日本は部品で勝ってシステムで負ける構図を打破しなければならない」と指摘する。

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