EVシフトで半導体需要が急増、供給不足が深刻化
世界的な電気自動車(EV)シフトの加速に伴い、半導体の需要が急増している。特にパワー半導体やマイコンなどの需要が高まり、供給不足が深刻化している。この影響で、自動車メーカーをはじめとする日本企業の生産計画に遅れが生じ、競争力の低下が懸念されている。
経済産業省によると、2023年の世界の半導体市場規模は約60兆円に達し、そのうち自動車向けは約10兆円を占める。EVには従来のガソリン車に比べて約2倍の半導体が使用されており、需要の拡大は今後も続くと見られる。
日本企業の競争力低下が懸念される理由
日本企業はかつて半導体市場で世界をリードしていたが、現在は存在感が低下している。特に先端ロジック半導体の分野では、台湾のTSMCや韓国のサムスン電子に大きく差をつけられている。このため、EVに必要な高性能半導体の多くを海外に依存せざるを得ず、供給不足の影響を直接受けやすい。
さらに、半導体不足は自動車生産の遅延だけでなく、部品調達コストの上昇や収益悪化にもつながる。日本自動車工業会の試算では、2023年の国内自動車生産台数は半導体不足の影響で約100万台減少し、経済損失は約2兆円に上るとされる。
経済産業省が打ち出す国内半導体産業の強化策
こうした状況を受け、経済産業省は国内半導体産業の強化に向けた政策を検討している。具体的には、先端半導体の製造拠点を国内に誘致するための補助金制度や、研究開発支援の拡充などが挙げられる。また、官民連携で次世代半導体の開発を加速するプロジェクトも始動している。
「半導体は産業のコメであり、安定供給の確保は国家の安全保障にも直結する」と経済産業省の担当者は述べ、早急な対策の必要性を強調している。
今後の展望と日本企業の課題
半導体不足は2024年以降も続くとの見方が強く、日本企業の競争力向上には、国内での半導体生産能力の強化が不可欠だ。また、EVシフトに対応するためには、車載半導体の開発・生産体制を強化するとともに、海外メーカーとの連携も重要となる。
一方で、半導体工場の建設には巨額の投資と長いリードタイムが必要であり、短期的な効果は期待しにくい。日本企業は、既存の強みであるアナログ半導体やパワー半導体の分野で差別化を図るとともに、産学官連携による人材育成も急務となっている。



