EVシフト加速、半導体不足が深刻化 自動車業界に迫る構造転換の波
EVシフト加速、半導体不足深刻化 自動車業界構造転換

世界的な電気自動車(EV)シフトの加速により、自動車用半導体の需要が急増している。一方で供給は追いつかず、半導体不足は長期化の様相を呈している。この状況は、完成車メーカーの生産計画に深刻な影響を与えており、業界全体に構造的な転換を迫っている。

半導体不足の背景と現状

半導体不足の背景には、パンデミック後のデジタル需要の急拡大と、自動車の電動化・知能化による半導体搭載数の増加がある。特にEVは従来のガソリン車に比べて約2倍の半導体を使用するとされ、需要を押し上げている。しかし、半導体製造には高い技術と設備投資が必要で、供給能力の拡大が容易ではない。

調査会社IHS Markitによると、2023年の自動車用半導体の世界市場規模は前年比約15%増の約600億ドルに達する見込み。一方で、供給不足により2023年の世界の自動車生産台数は計画比で約5%減少すると予測される。このギャップは2024年以降も続く可能性が高い。

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完成車メーカーへの影響

半導体不足は、多くの完成車メーカーの生産計画を直撃している。トヨタ自動車は2023年、複数回にわたって国内工場の生産調整を余儀なくされた。日産自動車も同様に、一部モデルの生産停止や減産を実施。これらの影響で、新車の納期は長期化し、中古車価格の高騰を招いている。

特に影響が大きいのは、先進運転支援システム(ADAS)やインフォテインメントシステムなど、高度な半導体を必要とする車種だ。これらの機能は消費者の購買意欲を左右するため、メーカーにとっては死活問題となっている。

業界の構造転換

半導体不足は、自動車業界にサプライチェーンの見直しを迫っている。従来のジャストインタイム生産方式は、半導体のような供給が不安定な部品には不向きだ。各社は在庫の積み増しや、半導体メーカーとの直接契約、さらには自社での半導体設計・製造に乗り出す動きも見られる。

また、半導体の調達難は、EVシフトの加速にも影響を与えている。半導体が確保できなければ、EVの生産台数を増やすことは難しい。このため、各社は半導体の安定調達を最優先課題として位置づけている。

今後の見通し

半導体不足の解消には、新工場の建設や設備増強が必要だが、稼働までには数年を要する。業界団体の日本自動車工業会は、2024年後半以降に供給が改善するとの見方を示すが、それまでは厳しい状況が続くと予想される。

自動車業界は、半導体不足という短期的な課題に対応しながら、同時にEVシフトという長期的な構造変化に適応していくことが求められている。この二重の課題を乗り越えられるかどうかが、各社の将来を左右することになるだろう。

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