電気自動車(EV)への移行が加速する中、車載半導体の需要が急激に増加している。1台のEVに搭載される半導体の数は従来のガソリン車の約2倍に達し、特にパワー半導体やセンサー類の需要が高まっている。この需要増に対し、半導体メーカーの生産能力が追いつかず、供給不足が長期化している。
車載半導体市場の急拡大
調査会社のデータによると、2023年の車載半導体市場規模は約500億ドルと推定され、2030年には1000億ドルを超える見通しだ。特に、EVの動力制御に欠かせないSiC(炭化ケイ素)パワー半導体の需要が急伸しており、各メーカーが増産投資を加速している。
自動車メーカー各社は、半導体の安定調達に向け、半導体メーカーとの直接契約を強化。トヨタ自動車はデンソーと共同で、車載半導体の設計・開発を進めており、日産自動車もルネサス エレクトロニクスとの協業を拡大している。
供給不足の背景
半導体不足の背景には、EVシフトに加え、自動運転技術の進展がある。自動運転レベル3以上の車両では、高性能なAIチップやイメージセンサーが多数必要となる。また、車載半導体は品質基準が厳しく、新規参入が容易ではないことも供給を逼迫させている。
半導体業界アナリストは「車載半導体の需要は今後10年間で3倍になる可能性がある。自動車メーカーは早期にサプライチェーンを強化すべきだ」と指摘する。
メーカーの対応策
こうした状況を受け、自動車メーカーは在庫の積み増しや長期契約の締結を進めている。一方、半導体メーカーも車載向け生産ラインの増設を急ぐ。台湾のTSMCは熊本県に車載半導体工場を建設中で、2024年の量産開始を目指している。
しかし、新工場の稼働までには時間がかかるため、短期的な供給不足は続くとみられる。業界団体は「2025年以降、徐々に供給が改善する可能性がある」と予測する。



