ASMLの中国向け売上が急減
オランダの半導体製造装置大手ASMLは、2024年第2四半期決算で中国向け売上比率が11%にまで低下したことを明らかにした。これは前年同期の49%から大幅に減少しており、米国主導の対中国輸出規制の影響が顕著に表れている。ASMLは最先端の極紫外線(EUV)露光装置で世界唯一のメーカーであり、その動向は半導体業界全体に波及する。
米国規制の強化とASMLの対応
米国政府は2022年以降、中国への半導体製造装置輸出を段階的に規制してきた。特にASMLのEUV装置や、より成熟した深紫外線(DUV)装置の一部が対象となっている。ASMLのCFOであるロジャー・ダッセン氏は「中国向け売上は今後も低水準が続く」と述べ、規制の長期化を示唆した。同社は中国以外の市場、特に台湾や韓国、米国での需要拡大に注力している。
日本企業への影響とチャンス
日本企業はASMLのEUV装置向けに部材を供給しており、例えばレーザー光源を手掛けるギガフォトン(現・レーザーテック)や、ミラー製造のニコンなどが挙げられる。これらの企業はASMLの販売増加に伴い受注拡大が見込める一方、中国市場の縮小は間接的なリスクとなる。また、東京エレクトロンやSCREENホールディングスなどの半導体製造装置メーカーは、中国向け売上比率が高いため、規制強化の影響を直接受ける可能性がある。
半導体業界の地殻変動
ASMLの中国向け売上減少は、半導体業界のサプライチェーン再編を加速させている。中国は自国での半導体製造能力向上を目指し、国内装置メーカーへの投資を強化。一方、米国や欧州、日本は半導体の自国生産を推進する補助金制度を導入しており、ASMLの装置需要はこれらの地域で増加すると予想される。
今後の見通し
ASMLは2024年の売上高見通しを据え置いたが、中国向けの減少を他の地域で補う必要がある。半導体市場の回復が遅れる場合、同社の業績に影響を与える可能性もある。日本企業にとっては、ASMLとの協業強化と同時に、中国依存度の低減が課題となる。



