「ゴク、ゴク、ゴク……。ぶはぁ!」。暑い日にビールを飲むシーンを文字にすると、こんな感じだろう。キンキンに冷えた一杯を、一気に飲み干したい――。そう思う人は少なくないはずだ。
ところが、「ビールだけ飲むと倒れるグラス」があると聞くと、「そんなことが本当にできるのか?」と首をかしげてしまう。
完成まで7回の試作
「よなよなエール」などのクラフトビールを製造するヨッホーブルーイング(長野県軽井沢町)が開発した「ぶらつくビアグラス」(1万3750円、送料別)は、その名の通り、ビールばかり飲むとグラスがぶらぶらするのだ。
アルファベットの「U」のような形をしていて、左右のツノの片方にビール、もう片方に水を注ぐ。両方の重さがつり合っている間は安定しているが、ビールだけ減るとバランスが崩れ、グラスがぐらりと傾く。水も同じくらい飲んで初めて元の安定した状態に戻る仕組みだ。
「いやいや、なぜそんなグラスをつくったの?」と思った人もいるはず。狙いは、お酌を飲むときにチェイサー(水)も飲むよう自然に促すことだ。そして、商品そのもの以上に「ぶむぶむ」と感じたのは、完成までの試行錯誤だった。
最も苦労した「底面の形状」
完成までの試作は7回。開発の経緯を追っていくと、「この形には一つ一つ理由があった」ことが見えてくる。
最初は、アルファベットの「U」をそのまま立てたような形だった。シンプルで、「まずは作ってみました」といった感触のデザインだった。
しかし、実際にビールを注いで飲んでみると問題が起きた。片側のビールを飲もうとグラスを傾けると、反対側に入っていた水が飲み口からあぶれ、自分の頬のほうへ流れてきたのだ。
これでは安心して飲めない。そこで開発メンバーは、左右の飲み口を少しずつ外側に広げた。花が開くように角度をつけることで、反対側の飲み物がこぼれにくくなったのだ。



