徳島大学は日亜化学工業(阿南市)などとの共同研究で、紫外線LEDによる殺菌に最適な波長を解明した。様々な病原微生物それぞれに有効な波長を調べ、多くのウイルスでは263~270ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)が最も感染力の低下(不活化)に効果的と分析した。空気清浄機や水処理施設、医療機関、食品製造施設などでの殺菌・除菌システムの開発につながると期待されている。
従来の水銀ランプに代わる紫外線LEDの可能性
紫外線(UV)は医療や食品衛生などの分野で殺菌効果が利用され、コロナ禍以降は空気や物質の表面殺菌でも注目されている。従来の殺菌用低圧水銀ランプは現在規制の対象外だが、水銀利用の禁止や規制が強まる中、省エネで長寿命、小型化が可能な紫外線LEDの活用が進んでいる。
しかし、これまでの研究ではそれぞれの波長や照射装置、対象とした病原微生物が異なっていたため、比較するデータが不足していた。
標準評価装置で13種類の波長を検証
このため徳島大学大学院の馬渡一諭准教授(予防環境栄養学)らの研究グループは2023年から、250~365ナノメートルの13種類の紫外線LEDを高精度に照射できる標準評価装置「標準化紫外線照射評価システム」を同社と共同開発。多種類の病原微生物に、統一した条件下で紫外線LEDの波長を変えて照射し、殺菌効果を調べた。
対象は大腸菌、黄色ブドウ球菌などの細菌10種のほか、黒カビなどの真菌7種、A型インフルエンザウイルス、新型コロナウイルスなどのウイルスとファージ11種。
その結果、現在多くある低圧水銀ランプの主波長254ナノメートルではなく、263~270ナノメートル付近の波長を照射した方がより効率的な殺菌につながると分析。この波長を出すLED光源の設計・製造が求められると指摘した。
馬渡准教授は「次は下痢を起こすアメーバ(原虫)などにも研究対象を広げたい。紫外線LEDは、人がいない所や物に短時間照射することを想定しており、様々な製品、システムができれば」と期待を語った。



