シュプリームへの関心が再び高まっている。売上は拡大し、ボックスロゴの人気も再燃、古参ファンも再び注目を始めた。ただし、かつての熱狂とは状況が異なるようだ。
長い間、シュプリームはもう「終わった」かのように思われていた。店の周りを囲む行列はなくなり、ボックスロゴのアイテムが店を出た瞬間に高額で転売されることもなくなった。新作のドロップを求めて木曜日の朝にブラウザを更新する習慣も、いつしか日常の一部になっていた。
しかし、このニューヨーク発のストリートウェアブランドが消えてしまったわけではない。この間もシュプリームはクールな服をリリースし続け、奇妙なコラボレーションも続けていた。そして、必要ないと思われるアイテムにも赤い長方形のロゴを付け続けていた。にもかかわらず、この数年は多くの人が「シュプリームは終わった」と言っていた。
売上は拡大傾向、StockXで首位に返り咲き
その傾向は数字に表れている。オンラインマーケットプレイスStockXの「Big Facts」レポート最新版によると、シュプリームのアパレル売上は前年比19%増、ボックスロゴ商品のリセール価格は前年同期比で33%上昇した。さらに、2026年現在、同プラットフォームで最も売れているアパレルブランドとなっている。2022年にフィアオブゴッドに首位を奪われて以来、初めてのことだ。
シュプリームは本当に復活したのだろうか。シュプリームに特化したInstagramアカウント@Dropsggの創設者キリアンは『GQ』にこう語る。「シュプリームが『死んだ』かどうかについては常に議論がありました──実際には一度も死んでいませんが。ただ2023年以来、関心が大きく高まっているのは確かです」
「トレマイン・エモリーがクリエイティブ・ディレクターを務めた短い期間に、新たな関心がブランドに向けられました。その後も彼が関わっているかどうかに関係なく、力強いコレクションを安定して発表し続け、その勢いを保ち続けています」
コラボレーションが話題を再燃させる
この1年、その関心はさらに加速している。「シュプリームについて語らなくなっていたメディアやコメンテーターたちが、また注目をするようになってきています。私の見方では、とりわけ最近のコラボレーションが話題を大きく再燃させているように思えます」とキリアンは言う。
実際、メゾン マルジェラ、スパイダーマン、プレイボーイ・カーティ、ナイキとのコラボ、マイケル・ジャクソンのアルバムアートをフィーチャーしたアイテムなど、多くのコラボレーションが大きな話題となった。キリアンは、それほど目立たないコラボも重要だと考えている。シュプリームは最近、日本のストリートウェアブランド、グッドイナフやナンバーナインとタッグを組み、ウィッチハウスと呼ばれるジャンルでカルト的な人気を誇るバンド、セイレムともコラボレーションした。「(シュプリームは)媚びていない。彼らは、自分たちにとって本当に意味のあるものを紹介し続けているのです」
言い換えれば、シュプリームは何も変わっていないということだ。変化したのは、むしろ周囲の見方かもしれない。
若い世代が「ヴィンテージ」として発見
ファッション系コンテンツクリエイターのアイネス・ベルメディは、2006年頃にスケートビデオや音楽、雑誌、古い写真を通してシュプリームに興味を持った。「シュプリームがクールじゃなくなったとは思いません。ただ、新味がなくなったんだと思います。このふたつはまったく違うことです」
ある時点でシュプリームはあまりにもビッグになり、ハイプに惑わされずに評価することが難しくなった。「シュプリームがあまりにも頻繁に目にする存在になって、少し魔法が解けてしまったと感じた時期はありました。誰もがボックスロゴを知ってしまうと、『自分で発見した』という感覚はなくなりますからね」しかし、ハイプが収まったとき、彼女は再びシュプリームに目を向けるようになった。「そこから昔のシュプリームを振り返るようになって、そこにどれだけ強烈な個性があったのかに気づいたんです。わかりやすい人気アイテムだけではありません。ヘンテコなグラフィックやコラボレーション、写真、様々な引用も含めてです」
昔のシュプリームを知らない若い買い手も増えている。2013年頃に10代でシュプリームを買い始めたアカウントマネージャーのパオロ・パラゾは、両親からもらったバス代を節約し、30ポンド(約6000円)ほどのTシャツを買うために貯金していた。16歳の誕生日に母親とニューヨークを訪れた際、ラファイエット・ストリートの初代店舗(2019年に閉店)に真っ先に向かった。イギリスに戻れば、ロンドンの店舗で何かを手に入れるのはひと苦労だった。「店員にはクソみたいな扱いを受けるし、ピーター・ストリートの店ではほとんど何も聞こえません。それでも、とにかく手に入るもののなかから、着られそうな一番近いサイズをつかんで金を払うんです」
近頃は状況もずいぶん穏やかになった。「かなり落ち着いたと思います。10年前のようにバズったりハイプを生んだりすることはありません」とパラゾは言う。だが、それは必ずしも悪いことではないという。「派手なショーツやユケテンとのコラボシューズも買えるし、どんな場面でも穿けるワークパンツやオックスフォードシャツも手に入る。そういった変化は気に入っていますよ」
古参ファンのノスタルジーと新世代の興味
ベルメディによれば、若いファンは昔のシュプリームを「ほとんどヴィンテージのように」捉え、15年、20年前のアイテムが当時何を象徴していたかにはこだわらずに入手しているという。匿名を条件に取材に応じたストリートウェアのリセラーも同じトレンドを感じている。「若い買い手は確実に増えています。そこが一番興味深い点かもしれません。昔のボックスロゴやグラフィックを探している子たちのなかには、それが発売された当時のことをそもそも知らない年齢の人もいるんです」
一方で、古参ファンも再び様子を窺い始めている。「何年も前にシュプリームへの興味を失った友人たちが、少しずつまた注目し始めています。毎週何かを買うわけでなくても、間違いなく注意を払うようにはなっていますね」とキリアンは言う。パラゾは、トレンドが一周したのだと話す。「ジーンズが太くなって、また細くなる。ローファーを履いたかと思えば、またスニーカーに戻る。それと同じです」。最初のブームを経験した人々のノスタルジーも影響している。「以前ほど夢中ではなくなったぶん、13歳だった頃の自分を満足させるために買っていると思うことがよくあります」
先ほどのリセラーも、しばらくシュプリーム以外に資金を回していたが、最近になって再び買い付けを行うようになった。それでも、かつてに比べ遙かに慎重に商品を選んでいる。「すぐに売れるアイテムがある一方、ずっと売れ残るものもたくさんありますからね」絶頂期には「ほとんど何を仕入れても買う人がいた」が、StockXの数字が好調とはいえ、現在の状況はそこからは「ほど遠い」という。「今でも、新作の多くにはほとんど転売価値がありません。定価で買って少し高く売ったところで、手数料を引けば結局ほとんど儲けにならないんです」
つまり、数字は上向いているものの、ボックスロゴさえ付いていれば何でも投資対象になった時代に戻ったわけではない。「今、シュプリームに波が来ているのは確かだと思います。ただ、かつての勢いが本格的に戻ってきたことを意味するものかは正直わかりません」
だが、おそらくそれでいいのだ。シュプリームは、一着のフーディを買うために4時間並び、二次流通市場の知識まで必要だった時代を再現する必要はない。あの当時のシュプリームは、ファッションにおける極めて特殊な時代の産物だった。それを人工的に作り出そうとしても、良い結果にはならないだろう。シュプリームはより堅実な方針を貫き、人々が再びその魅力に気づくまでそこに留まり続けた。
「そもそもシュプリームに“カムバック”が必要だとはあまり思っていません。だって、たまにサイトを覗いているのは私だけじゃないはずですからね」とパラゾは言う。実際、彼だけではない。かつてのような行列は戻っていないし、ボックスロゴで簡単に儲けられるわけでもない。それでも売上は伸び、古参ファンを振り返らせ、初めてシュプリームに触れる新しい世代に訴求している。シュプリームは確かに戻ってきた。ただ、かつてとは少し違って見えるだけだ。



