中国・深圳の強力なスマートフォン部品供給網を背景に、新興AIグラスメーカーが日本市場への攻勢を強めている。小型ディスプレイやカメラ、バッテリー、無線チップといったAIグラスに必要な部品は、深圳が長年扱ってきたスマホ部品と重なる。近隣工場からの迅速な調達が可能で、試作から量産までの距離が短いため、新ブランドが製品を投入しやすい環境が整っている。
深圳の供給網が生む多様なAIグラス
同じ深圳周辺の供給網から、狙う用途の異なるブランドが同時に登場している。画面付きAIグラスは、翻訳字幕だけでなく、歩行中のナビゲーションや会議の議事録を視界に映し出すことができる。スマートフォンを取り出すことなく、視線を前方に向けたまま情報を得られる点が強みだ。
成都に本社を置くINMOの最新機種「INMO GO3」は、重さ約58グラムの両眼ディスプレイ型だ。最大98言語の双方向翻訳に対応し、バッテリーは磁石で約5秒で交換できる。INMOの担当者は「スマートグラスが人とAIをつなぐ最も自然な方法になる」と述べている。海外では599ドルから販売されるが、日本での価格は未公表だ。
Rokidが日本で記録的資金調達
杭州で2014年に創業したRokidも、ディスプレイ付きAIグラスで日本市場に参入している。「Rokid スマートAIグラス」を7月10日に発売し、価格は10万9990円。クラウドファンディングサービスMakuakeでの先行販売では、7413人から約6億3673万円を集め、同サービスの歴代最高額を記録した。中国メーカーのスマートグラスに、日本で6億円超の資金が集まったことになる。
Rokidのブースにはサングラス型とウェリントン型が並び、多様なデザインをアピールした。同社は日本市場での販売を本格化させ、すでにMakuakeでの成功を足がかりに、さらなる展開を目指す。
ディスプレイ型中国勢、日本で本格競争へ
現在、日本市場では米Metaの「Ray-Ban Meta」が先行しているが、ディスプレイ型AIグラスでは中国勢が追い上げる。INMO GO3やRokidの製品は、翻訳やナビといった実用的な機能を前面に打ち出し、ビジネスユーザーやテクノロジー愛好家の関心を集めている。深圳の供給網を活用した低コスト生産と迅速な製品投入が、競争力を支えている。
今後、日本でディスプレイ型AIグラスがそろうのはこれからであり、中国メーカー間の競争激化が予想される。スマホ市場で培われた深圳のエコシステムが、AIグラスという新たなカテゴリーでもその威力を発揮し始めている。



