建築を知ることは、まちの歴史や文化を深く知ることにつながる。そんな「建築ツーリズム」の拠点となる京都建築センターが9月、京都・三条木屋町にオープンする。立ち上げに必要な資金の一部を、現在、クラウドファンディングで募集中だ。
シカゴ建築センターに触発
京都を中心に年間2千本以上のまち歩きツアーを手がけ、京都モダン建築祭や神戸建築祭の事務局を運営してきた合同会社まいまいの代表、以倉敬之さん(40)は昨年、長年の念願だった米シカゴを訪れた。目的は「シカゴ建築センター」の視察だった。
シカゴは摩天楼発祥の地と言われ、シカゴ川沿いに近代の名建築が立ち並ぶ。シカゴ建築センターは数々の建築ツアーが発着するまち歩きの拠点として知られる。建築関連の展示やライブラリー、グッズを扱うショップがあり、建築文化に関するミュージアムのような存在だ。「京都にも、シカゴのような街のど真ん中に建築センターを作りたい」。以倉さんは心に強く誓ったという。
民間主導で開設
欧米の建築センターは、自治体や財団など公共セクターが設立・運営していることが多いという。「でも、行政頼みではだめ。自分たちがやろう」と、民間で手がけることにした。
京都建築センターは、世界的な建築家・安藤忠雄氏が手がけた「TIME’S(タイムズ)」の路面部分に開設する。モダン建築が数多く立ち並ぶ三条通が木屋町通と交わる高瀬川のほとりにたたずみ、高瀬川を「庭」に見立てた設計が特徴だ。
初期の代表作の一つ
大阪公立大の倉方俊輔教授(建築史)は「『世界の安藤』がここから生まれたと言っても過言ではない、初期の代表作の一つ」と言う。「建築そのものが旅の目的地になる場所に良いご縁をいただけた」と以倉さんも喜ぶ。
センターでは建築文化に関する企画展を定期的に開くほか、建築を目的にまち歩きをする人のための情報を提供。建築の魅力をわかりやすく伝えるスキルを学ぶ場も設け、建築ツアーや建築祭でガイドとして活躍できる人を育てる。
新たな旅の定番を
以倉さんは「京都へ行ったら建築ツアーという、新たな旅の定番を作りたい。収益を歴史的に貴重な建築の維持管理に回せるような循環もめざしたい」と意気込む。
京都市中心部の一等地と言える場で、センターを運営していくのは容易ではない。設立費用だけで総額1600万円はかかる見込みで、クラウドファンディングを実施中。目標の400万円は達成したが、9月15日まで支援を募る。5千円~10万円の寄付メニューがあり、安藤忠雄氏スペシャルトークイベントご招待などの特典がある。



