甲府市寿町のジム「THE BANANA」では、基本的にバーベルを用いたスクワットやベンチプレスなどのいわゆる筋トレを行わない。経営者でトレーナーの近藤公利さん(36)は、元国内トップクラスのボディービルダーで、現在は「筋トレしないジム」を営む。
筋トレだけでは根本的な悩みは解決しない
近藤さんは「一時的に痩せるダイエットであれば筋トレだけでも効果はある」としつつ、「心身の不調を根源から治すには、呼吸や姿勢、自律神経など体の土台を整える必要がある」と話す。ジムでは指導していないが、筋トレをしないことを推奨しているわけではない。
近藤さんは甲府市出身。小学校から高校まで野球に打ち込み、卒業後は県内の工場に勤めた。筋トレに本格的に取り組み始めたのは25歳の頃。職場見学に来た先輩社員の子どもを見て、「将来自分の子どもが見学に来ることがあっても、今の仕事への向き合い方はかっこいいとは思ってもらえないな」と思ったという。
そんな時、テレビ番組に出ていたボディービルダーの体に引かれ、ジムに通い始めた。県内で名の知れたボディービルダーに見込まれ、どんどんのめり込んでいった。工場を辞め、ジムのトレーナーとして働き、当時県内になかった24時間営業のジムの設立にも携わった。「県ボディビル選手権」で優勝するなど成果を残し、生活は筋トレ中心に回っていった。
パフォーマンスピラミッドとの出会い
しかし、トレーナーとして会員を指導する中で、新たな「もやもや」が生まれた。筋トレで脂肪減少や筋肉量の増加は見られる一方、腰痛や姿勢の改善など根本的な悩みが解決していないことに気づいた。
そこで知ったのが「パフォーマンスピラミッド」だ。呼吸や自律神経、五感につながる脳を整える「システム」を土台に、正しい姿勢などの「ポジション」、正しく動作をする「パターン」が続き、筋トレで鍛える「パワー」は4番目。「ただ単に筋肉をつけては、全体の調和を乱してしまう」と感じた。
体の土台を整える指導で「ウェルネス県」へ
2022年11月にオープンした自身のジムでは、体験者にパフォーマンスピラミッドの原則を最初に伝え、ピラティスやストレッチから取り組む。姿勢解析ができる最新機器も導入し、不調の原因を一から解決していく。
県内高校の部活動や企業からの依頼も受け、呼吸法や姿勢の指導も行う。今後は店舗拡大も視野に入れる。近藤さんは「筋トレだけに頼らない知識を普及させて、山梨を世界一の『ウェルネス県』にしたい」と話している。



