同じAppleアカウントを使用しているMacとiPhoneの間でファイルを転送する際、AirDropとiCloud Driveのどちらが高速かという疑問に答える。通常の通信状態では、AirDropの方が明らかに速い。その理由は、AirDropが独自の近距離無線通信プロトコルを活用し、デバイス同士を直接接続するからだ。
AirDropの高速通信の仕組み
AirDropは、まずBluetooth LE(Low Energy)を使って周囲のAppleデバイスを検出する。その後、データ通信をWi-Fiを利用したP2P(ピアツーピア)接続に引き継ぐ。この際、Apple独自のAWDL(Apple Wireless Direct Link)プロトコルが使用される。AWDLにより、Wi-Fiアクセスポイントを経由せずにデバイス同士が直接通信するため、高速Wi-Fi規格の性能を最大限に活かせる。2台のデバイスが半径10メートル以内にあることが前提だが、手軽で効率的なファイル転送手段である。
iCloud Driveの転送経路と効率
一方、iCloud DriveはWi-Fiアクセスポイントを経由したインターネット接続が必要で、ファイルはMacからAppleのサーバにアップロードされ、その後iPhoneでダウンロードされる。この「遠回り」により、直接通信するAirDropと比べて効率が悪い。ファイル1つや写真1枚程度なら速度差はほとんど感じられないが、100メガバイトや200メガバイトを超えるファイルでは、かなりの時間差が生じる。
iCloud Driveの利点
ただし、iCloud Driveにも独自の利点がある。目の前にないデバイスにもファイルを転送でき、バックアップとしても機能する。iCloud Driveへのアップロードが完了すれば、転送元と転送先のデバイスを同時に起動しておく必要はなく、複数のMac、iPhone、iPad間で同期も可能だ。用途に応じて適切な方法を選ぶことが賢い使い方と言える。
本記事は、IT/AVコラムニストの海上忍氏(うなかみしのぶ)による寄稿。同氏はUNIX系OSやスマートフォンに関する連載・著作が多数あり、マイナビニュースでは「いまさら聞けないiPhoneのなぜ」や「(新)OS Xハッキング!」などを執筆中。2012年よりAV機器アワード「VGP」審査員も務める。



