米国でEV普及が鈍化、インフラ不足と価格高騰が課題
米国EV普及鈍化、インフラ不足と価格高騰が課題

米国における電気自動車(EV)の普及が予想に反して鈍化している。2024年第1四半期のEV販売台数は前年同期比でわずか2.5%増にとどまり、2023年の同47%増から急減速した。この背景には、充電インフラの整備遅れや車両価格の高騰がある。

充電インフラ不足が普及の壁に

米国エネルギー省のデータによると、2024年3月時点で全米の公共充電器は約16万基。2030年までに50万基を設置するというバイデン政権の目標には程遠い。特に地方部での充電器不足が深刻で、EV購入をためらう要因となっている。調査会社JDパワーの調査では、EV購入希望者の約6割が「充電インフラ不足」を最大の懸念事項に挙げている。

また、充電器の故障率も高い。米国自動車協会(AAA)の報告では、公共充電器の約20%が稼働していないか、修理が必要な状態にある。この信頼性の低さが、消費者のEV購入意欲を削いでいる。

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価格高騰と金利上昇が追い打ち

EVの平均価格は2024年1月時点で約5万5000ドル(約820万円)と、ガソリン車(約4万8000ドル)を大きく上回る。さらに、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げにより自動車ローン金利が上昇、月々の支払い負担が増加している。このため、価格に敏感な中間所得層がEV購入を先送りしている。

自動車情報サイトEdmundsのアナリスト、ジェシカ・コールドウェル氏は「価格が下がらない限り、普及は進まない。メーカーは生産コスト削減に苦戦している」と指摘する。実際、テスラやフォードは値下げを実施したが、利益率の悪化を招いている。

バイデン政権の目標に黄信号

バイデン大統領は2030年までに新車販売の50%をEVにする目標を掲げるが、現状のペースでは達成は困難だ。2024年のEV市場シェアは約8%と予測され、目標の半分にも満たない。政府は税額控除や補助金で需要を喚起するが、効果は限定的とみられる。

環境保護団体「シエラクラブ」の広報担当者は「政府は充電インフラへの投資を加速すべきだ。遅れは気候変動対策に悪影響を及ぼす」と警告する。一方、自動車業界は「充電インフラ整備には時間がかかる。現実的な目標設定が必要」と訴える。

メーカーの戦略転換も

需要減速を受け、一部メーカーはEV生産計画を縮小している。ゼネラル・モーターズ(GM)は2024年のEV生産目標を引き下げ、フォードは一部のEVモデルの発売を延期した。代わりに、プラグインハイブリッド車(PHEV)の投入を強化する動きも出ている。PHEVはEVとガソリン車の中間として、消費者にとって受け入れやすい選択肢となり得る。

しかし、PHEVは完全な脱炭素にはつながらず、長期的なEVシフトの妨げになる可能性もある。業界関係者は「PHEVは過渡期の技術だが、EV普及の橋渡し役として重要」と評価する。

米国のEV普及は、インフラ整備と価格低下が鍵を握る。政府と産業界の協調が不可欠であり、今後の政策動向が注目される。

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