トヨタ自動車の「ランドクルーザーFJ」が好調だ。2026年6〜9月の4カ月間で約1万5,320台が登録され、同じ期間のランドクルーザー250・300・70の合計を上回った。ランクルシリーズ全体の約52%をFJが占める。
数字で見るFJの販売動向
トヨタの月別登録台数(概数)によると、FJの登録は2026年5月が580台、6月が4,870台、7月が4,060台、8月が2,600台、9月が3,790台。5月14日発売のため、5月は半月分の数字だ。
6〜9月の4カ月間では、FJが約1万5,320台。一方、ランドクルーザー250(ガソリン・ディーゼル)、300(同)、70の3モデル合計は約1万4,420台で、FJ単独が兄貴分3モデルを上回った。この期間のランクルシリーズ全体(約2万9,740台)に占めるFJの割合は約52%に達する。
月別では、FJは6月、7月、9月の3カ月でほかのランクル3モデルの合計を上回った。9月の3,790台は、トヨタの人気SUV「ハリアー」(ガソリン・ハイブリッド・PHEV合計で約2,890台)をも上回る数字だ。
8月の落ち込みは「失速」ではない
8月に2,600台まで落ち込んだが、同じ8月は「シエンタ」「ノア」「ヴォクシー」などトヨタの主力車種の多くが軒並み台数を減らしている。お盆休みで販売店の営業日が少なく、納車・登録が進みにくい時期であることを踏まえると、FJだけが失速したわけではなさそうだ。実際、9月には3,790台まで回復している。
なお、FJはタイのトヨタ・モーター・タイランド バンポー工場で生産される輸入車だ。国内に届く台数は、現地の生産や船便のスケジュールにも左右される。
「ちょうどいいランクル」の魅力
FJの持ち味は、ランクルらしい本格的な中身を、ひと回りコンパクトなボディに収めたことにある。伝統のラダーフレームはボディサイズに合わせて刷新し、ホイールベースを短縮。ボディサイズは全長4,575mm、全幅1,855mm、全高1,960mm(ルーフレール含む)、ホイールベース2,580mm、最小回転半径5.5mだ。
パワートレインは直列4気筒2.7Lガソリンエンジン「2TR-FE」(最高出力163PS、最大トルク246Nm)と6速ATの組み合わせで、駆動方式はパートタイム4WD。電動リヤデフロックやダウンヒルアシストコントロールなど悪路向け装備も備える。背面にスペアタイヤを背負いながら横開きバックドアを採用するなど、日常の使い勝手にも配慮している。グレードは「VX」のみで価格は450万100円。
試乗した印象では、視点が高く見晴らしがよく、ボンネットの両端が盛り上がっていることで車幅感覚をつかみやすい。ランクルの兄貴分たちに比べて車幅が狭く全長も短いため、安心感があって運転しやすかった。一方、ハンドルは最近のクルマにしてはかなり重く、最初は驚いた。電動化なしの純粋なガソリンエンジン車だが、出足がいまいちとは感じず、思い切りアクセルを踏んでもすごい加速をするわけではなかった。
月販基準台数の約3倍で登録進む
FJの勢いは、トヨタ自身の見込みと比べても際立っている。トヨタが発売時に掲げた月販基準台数は1,300台。これに対し、6月は4,870台で約3.7倍、7月は4,060台で約3.1倍、8月は2,600台で約2倍、9月は3,790台で約2.9倍だった。6〜9月の月平均は約3,830台で、基準台数のおよそ3倍のペースで登録が進んでいる。
ランクルといえば、長らく「大きくて高価な本格派SUV」の代名詞だった。そこへ、ひと回り小さく450万円で買えるFJが加わったことで、ランクルの裾野は一気に広がったといえる。登場から5カ月足らずでシリーズの半数超を占めるようになった事実は重く、「ランクルの主役」の座は、すでにFJへと移りつつあるのかもしれない。