来年度から郵便局網の維持に向けて年650億円規模の公的支援が導入される。これは、郵便局こそが地域を守る「最後のとりで」だからだとされる。しかし、日本郵政グループ労働組合(JP労組)の研究機関が設けた研究会で座長を務めた嶋田暁文・九州大大学院教授(行政学)は、郵便局を守るための公的支援ではいけないと語る。
「多すぎる」とも「絶対に守るべき」とも言えない
日本には海外と比べても密度の高い2万超の郵便局網がある。嶋田教授は現状について「単純に海外と比べたり数字だけで評価したりするのは、危うい議論だ。都市部の1局と過疎地の1局では、まったく意味が違う。『多すぎる』とも『絶対に守るべきだ』とも言えない」と述べる。
その上で「郵便局が各地でどんな機能を担っているか、なくなった場合に代替手段があるかを見る必要がある。都市部での必要性は検討すべきだが、行政や民間のサービスが低下する過疎地では、郵便局を地域の資産として活用したほうがいい」と指摘する。
「郵便局ありき」からの脱却が必要
連載初回では、さいたま市が郵便局で住民票1通あたり約3万円の経費がかかるとしてサービスをやめる決断をした事例が報じられている。「郵便局ありき」からの脱却が問われている。
嶋田教授の主張は、郵便局の維持そのものを目的とするのではなく、地域にとって本当に必要な機能をどう確保するかという視点の重要性を示している。