トヨタ自動車とNTTは、自動運転技術の高度化に向けて人工知能(AI)の基盤となるデータプラットフォームを共同開発すると発表した。両社は、交通事故ゼロ社会の実現を目指し、2028年までの実用化を目標に掲げている。
協業の背景と目的
自動運転技術の開発競争が世界的に激化する中、トヨタとNTTは、AIの性能向上に不可欠な大規模データの収集・処理基盤を共同で構築する。具体的には、トヨタが持つ車両データや走行環境データと、NTTの通信技術・AI処理技術を組み合わせる。両社は、これにより自動運転の認識精度や判断能力を大幅に向上させるとしている。
トヨタの佐藤恒治社長は、「安全で安心なモビリティ社会の実現には、異業種との連携が不可欠だ。NTTの持つ最先端の通信・AI技術と組み合わせることで、自動運転の実用化を加速したい」と述べている。
データ基盤の概要
共同開発されるデータプラットフォームは、車両から収集される膨大な走行データをリアルタイムで処理・分析する。NTTが開発する「IOWN(アイオン)」構想の光通信技術を活用し、低遅延で大容量のデータ伝送を実現する。また、AIモデルの学習には、トヨタが蓄積してきた約1000万台以上の車両データを活用する予定だ。
NTTの島田明社長は、「自動運転は、交通死亡事故の削減や高齢者の移動手段確保など、社会課題の解決に貢献する。トヨタとの協業で、AIデータ基盤の標準化を目指す」とコメントしている。
競合との差別化
自動運転分野では、米グーグル系のウェイモや中国の百度(バイドゥ)などが先行する。一方、トヨタとNTTは、日本国内の交通環境に特化した高精度なデータを強みとする。特に、複雑な市街地や悪天候時の走行データを豊富に持ち、AIの学習に活用することで、競合との差別化を図る。
また、両社は自動運転の安全基準やデータの標準化についても、政府や関連企業との連携を進める方針だ。2025年には、限定エリアでの自動運転サービスの実証実験を開始し、2028年以降の商用化を目指す。
投資規模とスケジュール
今回の協業における投資額は非公表だが、トヨタは自動運転関連の研究開発費として年間約1000億円を投じており、NTTもAI・通信分野に大規模投資を計画している。両社は、2024年度内に共同開発チームを発足させ、2026年までにデータ基盤のプロトタイプを完成させる予定だ。
自動運転技術の実用化は、交通事故の削減だけでなく、物流や公共交通の効率化にもつながると期待される。トヨタとNTTの協業が、日本の自動運転産業の競争力強化にどのような影響を与えるか、注目が集まる。



