トヨタ自動車とホンダの電気自動車(EV)戦略が、世界最大の自動車市場である中国で明暗を分けている。トヨタはハイブリッド車(HV)で培った技術を生かし、段階的にEVへ移行する「全方位戦略」を採用。一方、ホンダは中国市場に特化したEV専用ブランド「e:N」シリーズを投入し、積極的なEVシフトを進めている。
トヨタの戦略:HVからEVへ段階的移行
トヨタは2026年までにEVの世界販売台数を150万台に引き上げる目標を掲げるが、その過程ではHVやプラグインハイブリッド車(PHV)も併売する。中国市場では、現地合弁企業である広汽トヨタと一汽トヨタを通じて、EVモデル「bZ4X」や「bZ3」を投入。しかし、販売は低迷しており、2024年の中国でのEV販売台数は約10万台にとどまる見通しだ。
トヨタの豊田章男会長は「EVだけでなく、多様な選択肢を提供することが重要」と述べ、顧客のニーズに応じた柔軟な戦略を強調する。しかし、中国市場ではBYDなどの現地メーカーが低価格EVを次々と投入しており、トヨタのHV主体の戦略は競争力を失いつつあるとの指摘もある。
ホンダの戦略:中国向けEV専用ブランドで攻勢
ホンダは2021年に中国市場向けEVブランド「e:N」を発表。2024年までに10車種のEVを投入する計画で、すでに「e:N1」「e:N2」などのモデルを発売している。ホンダの三部敏宏社長は「中国は世界で最もEV化が進む市場。当社もスピード感を持って対応する」と語る。2024年の中国でのEV販売目標は20万台で、トヨタの2倍に相当する。
ホンダはまた、中国のCATLからバッテリーを調達し、コスト競争力を高める。さらに、2027年までに中国市場で販売する新車の100%をEVまたは燃料電池車(FCV)にする目標を掲げるなど、意欲的な姿勢を見せる。
中国市場の現状と両社の課題
中国の新車販売に占めるEVの割合は2024年に30%を超え、世界最高水準にある。BYDや上海汽車などの地元メーカーが市場を席巻する中、日系メーカーのシェアは低下傾向にある。トヨタの中国での販売台数は2023年に前年比1.7%減の190万台、ホンダは同1.5%減の180万台と苦戦している。
アナリストは「トヨタはHVで優位性を持つが、EVシフトの遅れが中国市場での競争力を損なう恐れがある。ホンダはEV専用ブランドで巻き返しを図るが、ブランド認知度や収益性の面で課題が残る」と指摘する。
両社の戦略の違いは、今後の業績に大きな影響を与える可能性がある。トヨタはHVの需要が続く限り安定的な収益を見込めるが、EV市場の急拡大に対応できなければシェアを失うリスクがある。ホンダはEVシフトに賭けるが、投資負担が重く、短期的な収益悪化は避けられない。中国市場での明暗は、日系自動車メーカーの将来を占う試金石となるだろう。



