東京都が、2027年までに新型電気バス(EVバス)を100台導入する方針を固めたことが、関係者への取材で明らかになった。都は併せて、都内の路線バス事業者を対象に、EVバスの購入費用の一部を補助する新たな制度を創設する。これにより、都内の公共交通機関の脱炭素化を加速させる狙いだ。
導入の背景と目標
東京都は、2050年までに二酸化炭素(CO2)排出量を実質ゼロにする「ゼロエミッション東京」の実現を掲げている。その一環として、都内を走る路線バスの電動化を推進してきた。現在、都内の路線バスは約4,000台運行しているが、EVバスは2025年時点で数十台にとどまっている。今回の100台導入は、この状況を大きく変える第一歩となる。
都の担当者は「EVバスの普及には初期費用の高さが課題だった。補助金制度で事業者の負担を軽減し、導入を後押ししたい」と説明する。補助額は1台あたり最大で購入価格の3分の1程度を想定しており、2026年度の予算案に盛り込む方向で調整している。
補助金制度の詳細
新設される補助金制度は、都内で路線バスを運行する民間事業者が対象となる。補助対象は車両本体価格に加え、充電インフラの整備費用も含まれる。都は2026年度から3年間で総額約50億円を計上する計画だ。これにより、事業者の導入コストを抑え、EVバスの台数を段階的に増やしていく。
また、都はEVバスの性能向上にも注力する。新型バスは一回の充電で走行距離が従来の200キロから300キロに延び、寒冷地や山間部の路線でも安定した運行が可能になるという。さらに、車内のバリアフリー化や静粛性の向上も図られる。
今後のスケジュール
都は2026年度中に補助金の公募を開始し、2027年度末までに100台の導入を完了させる目標だ。導入後は、都内の主要路線から順次EVバスに置き換える方針で、2030年までに都内の路線バスの約3割を電動車両にする計画も検討している。
環境省のデータによると、路線バスからのCO2排出量は都内の運輸部門全体の約5%を占める。東京都環境局の担当者は「EVバスの導入は、大気汚染の改善や騒音低減にもつながる。都民の生活環境を向上させる重要な施策だ」と強調した。
業界の反応
都内で路線バスを運行する事業者からは、歓迎の声が上がっている。あるバス会社の幹部は「補助金があれば導入のハードルが下がる。早期にEVバスを導入して、環境負荷の低減に貢献したい」と話す。一方で、充電インフラの整備や運行ダイヤの調整など、運用面での課題も指摘されている。
東京都は今後、補助金制度の詳細を詰めるとともに、事業者との連携を強化し、円滑な導入を進める方針だ。



