リニア中央新幹線の静岡工区をめぐり、静岡県は18日、着工許可に当たる「自然環境保全協定書」をJR東海と締結した。今後、最難関とされる南アルプストンネル工事を監視するモニタリング体制を通し、住民の不安解消につなげたい考えだ。流域自治体は同社と地域振興に関する確認書を交わしたが、地元の受け止めは一様ではない。
締結式には約40人が出席
この日の締結式は県庁で行われ、鈴木康友知事やJR東海の丹羽俊介社長のほか、国土交通省幹部や大井川流域8市2町の首長ら約40人が出席した。
鈴木知事はあいさつで「まさにこれからが本番だ。県として継続的なモニタリング体制を構築することで、住民の不安や懸念の払拭につなげる」と語った。丹羽社長は「モニタリングなどを確実に実施し、結果は県に報告するとともに適時適切に公表する」と述べた。
協定書の内容と今後の監視体制
協定書には、不測の事態が発生した場合の対応や、工事の進捗状況を監視する検証部会の設置が盛り込まれている。検証部会は有識者や県の職員で構成され、定期的に工事の影響を評価し、結果を公表する予定だ。
JR東海は、トンネル掘削に伴う地下水への影響を最小限に抑えるため、最新の技術を導入すると説明。また、大井川の流量や水質を継続的に監視し、異常が認められた場合は直ちに工事を中断する方針を示した。
地元自治体の反応
大井川流域の自治体首長らは、地域振興に関する確認書をJR東海と交わした。確認書では、工事に伴う経済効果を地域に還元するための協力や、観光振興策の実施が盛り込まれている。
一方で、住民からは「トンネル工事による水枯れが心配」「環境への影響が十分に評価されていない」といった懸念の声も上がっている。静岡市の難波喬司市長は「モニタリングを徹底し、住民の不安に真摯に向き合ってほしい」と述べた。
リニア中央新幹線の現状
リニア中央新幹線は、東京・品川と名古屋を約40分で結ぶ計画で、2027年の開業を目指している。しかし、静岡工区の着工遅れにより、開業時期は未定のままだ。国土交通省は、今回の協定締結を歓迎しつつも、今後の工程管理を厳格に行うようJR東海に求めた。
鈴木知事は記者会見で「これで大きなハードルを越えた。引き続き県民の理解を得ながら、安全かつ環境に配慮した工事を進めたい」と抱負を語った。



