タイのEV生産拠点化計画、中国メーカー主導で加速
タイのEV生産拠点化計画、中国メーカー主導で

タイ政府は、電気自動車(EV)の生産拠点としての地位を確立するため、中国メーカー主導の投資を積極的に誘致している。2025年までに新車販売の30%をEVにするという目標を掲げ、すでに複数の中国EVメーカーがタイに工場を建設中だ。

中国メーカーの大規模投資

中国のEV最大手BYDは、タイ東部のラヨーン県に工場を建設中で、2024年からの生産開始を予定している。同工場の年間生産能力は15万台で、タイ国内だけでなく東南アジア市場への輸出も視野に入れている。BYDに加えて、長城汽車や上汽集団傘下のMGもタイでEV生産を計画している。

タイ投資委員会(BOI)の発表によると、2023年のEV関連投資申請額は前年比で2倍以上に増加し、総額約1500億バーツ(約6000億円)に達した。このうち中国企業からの投資が約8割を占める。BOIのナリット長官は「タイはASEAN地域で最大の自動車生産国であり、EVシフトにおいてもリーダーとなる」と述べている。

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政府の支援策

タイ政府はEV普及を後押しするため、購入補助金や物品税の減免、輸入関税の引き下げなどの優遇措置を導入している。2022年から2025年までの間、EV購入者には最大15万バーツ(約60万円)の補助金が支給される。また、EV部品の輸入関税は最大40%削減される。

さらに、タイ政府は2030年までにEVの生産台数を国内新車生産の30%に引き上げる計画だ。これにより、タイは世界のEVサプライチェーンにおける重要な拠点となることを目指している。

競争激化と課題

タイのEV市場は急速に拡大しており、2023年のEV販売台数は前年比で約4倍の10万台を超えた。しかし、充電インフラの整備が追いついておらず、2023年末時点で公共充電器は約1万基にとどまる。政府は2025年までに充電器を1万2000基に増やす計画だが、需要の拡大に十分対応できるかは不透明だ。

また、タイ国内の自動車部品サプライヤーは、EVシフトに対応するため技術転換を迫られている。タイ自動車部品工業会の会長は「既存の部品メーカーはEV部品への切り替えに苦戦しており、政府の支援が必要だ」と指摘する。

地域経済への影響

EV産業の集積はタイ経済に大きな波及効果をもたらすと期待されている。ボストン・コンサルティング・グループの試算によると、EV関連産業は2030年までにタイのGDPを最大1兆バーツ(約4兆円)押し上げる可能性がある。雇用面でも、新たに約20万人の雇用が創出されると見込まれている。

一方で、中国企業への依存度が高まることへの懸念もある。タイ工業連盟の自動車部門の副会長は「中国メーカーに過度に依存すると、技術や部品供給でリスクが生じる可能性がある」と警告する。タイ政府は日本や欧州の自動車メーカーにも投資を呼びかけ、バランスの取れた産業構造を目指している。

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