日産自動車は、長らく業界を悩ませてきた半導体不足の緩和を受け、電気自動車(EV)の生産体制を正常化へと向かわせている。同社は2028年までに、次世代のソリッドステートバッテリーを搭載したEVを市場に投入する計画を発表し、電動化戦略を一段と加速させる方針だ。
半導体不足の終息と生産正常化
日産は、2023年後半から半導体サプライチェーンの改善が進み、2024年度上半期には生産が従来の計画通りに戻ると見込んでいる。これにより、EVをはじめとする全車種の生産台数が回復し、納期遅延の解消が期待される。同社の広報担当者は「サプライチェーンの安定化により、お客様への納車を迅速化できる見通しが立った」と述べている。
具体的には、日産は2024年度の世界生産台数を前年比約15%増の370万台に設定。このうちEVは約10%を占め、リーフやアリアなどの既存モデルに加え、新型EVの投入も計画している。
ソリッドステートバッテリーへの注力
日産は、EVの航続距離とコスト競争力を大幅に向上させるソリッドステートバッテリーの開発に注力している。同社は2028年に、このバッテリーを搭載した量産EVを発売する目標を掲げ、横浜工場にパイロットラインを設置。2024年から生産を開始する予定だ。
ソリッドステートバッテリーは、従来のリチウムイオンバッテリーに比べ、エネルギー密度が2倍、充電時間が3分の1に短縮されるという。日産の執行役員は「この技術により、EVの航続距離を現在の2倍に伸ばし、価格をガソリン車並みに抑えることが可能になる」と説明している。
競争激化するEV市場での生き残り
世界のEV市場では、テスラや中国のBYDなどが先行する中、日産は2026年までにEV販売台数を現在の3倍にあたる年100万台に引き上げる目標を掲げる。半導体不足の解消とバッテリー技術の革新が、この目標達成の鍵を握る。
日産はまた、欧州や中国市場でのEV販売を強化。中国では2026年までに4車種の新型EVを投入し、現地生産を拡大する計画だ。半導体不足の緩和により、これらの計画の実行が現実味を帯びている。
業界全体への影響
半導体不足の解消は、日産だけでなく自動車業界全体にとってプラス材料だ。トヨタやホンダなど他メーカーも生産正常化に動いており、供給制約が徐々に和らいでいる。特にEV向けの半導体供給が安定することで、各社の電動化計画が加速する可能性がある。
ただし、地政学的リスクや需要変動など、不透明要素も残る。日産は、半導体の長期契約や在庫戦略の見直しなど、サプライチェーンの強靭化を進めている。



