東洋経済の報道によると、日本の研究チームが電気自動車(EV)用リチウムイオン電池の寿命を従来の3倍に延ばす新技術を開発した。この技術は、電池の電極材料に特殊なコーティングを施すことで、充放電に伴う劣化を大幅に抑制するものだ。
新技術の詳細と仕組み
研究を主導したのは、東京工業大学と産業技術総合研究所の共同チームである。チームは、正極材料であるニッケル・コバルト・マンガン酸リチウム(NCM)の表面に、薄いリチウムイオン伝導性セラミック層を形成する技術を確立した。このセラミック層が、電解液と正極の直接接触を防ぎ、副反応による劣化を抑制する。
従来の電池では、充放電を繰り返すうちに正極表面で電解液が分解し、ガス発生や抵抗増加を引き起こす。新技術では、この分解反応が抑えられるため、電池容量の低下が大幅に遅くなる。実験では、従来の電池が500回の充放電で容量80%に低下したのに対し、新技術を適用した電池は1500回後でも同程度の容量を維持した。
実用化への道筋と期待される効果
研究チームは、この技術を2030年までに実用化する目標を掲げている。実用化には、コーティングプロセスのコスト低減や量産技術の確立が課題となるが、すでに複数の自動車メーカーから関心が寄せられているという。
EVの普及には電池寿命の延長が不可欠であり、本技術が実用化されれば、バッテリー交換の頻度が減り、EVのランニングコストが大幅に低下する。また、使用済みバッテリーの廃棄量削減にも貢献する。
専門家の見解
東洋経済の取材に対し、東京工業大学の教授は「この技術は、EV電池の耐久性に関する長年の課題を解決する可能性がある。特に、タクシーやトラックなど高頻度で使用される車両において大きな効果が期待できる」と述べている。
一方、産業技術総合研究所の研究員は「コーティングの均一性と生産速度が量産化の鍵となる。現在、ロールツーロール方式による連続コーティング技術の開発を進めている」と語った。
今後の展望
新技術の実用化は、日本の電池産業の競争力強化にもつながる。現在、中国や韓国企業がリードする電池市場で、日本が再び存在感を示すチャンスとなる。研究チームは、自動車メーカーとの協業を強化し、2028年までに試作品の提供を目指す。



