日本企業が中国の電気自動車(EV)市場で戦略を大きく転換している。従来のハイブリッド車(HV)中心からEVへのシフトを加速し、現地パートナーとの協業強化や新型車投入計画を打ち出している。背景には、中国政府のEV推進政策と、BYDなどの中国メーカーの台頭がある。
トヨタ、中国でEV生産を拡大
トヨタ自動車は、中国でのEV生産を拡大するため、現地合弁パートナーである広州汽車集団(GAC)や第一汽車(FAW)との協業を強化。2025年までに中国市場向けに10車種以上のEVを投入する計画を発表した。特に、2024年にはGACと共同開発した新型EV「bZ3」を発売し、中国市場でのEV販売を本格化させる。
トヨタの豊田章男会長は「中国は世界最大のEV市場であり、当社のEV戦略において最重要市場の一つ」と述べ、中国市場へのコミットメントを強調した。また、2026年までに全世界で150万台のEV販売目標を掲げており、中国市場がその達成の鍵を握る。
ホンダ、中国EVブランド「e:N」を強化
ホンダも中国市場でのEV戦略を加速。2024年から中国市場向けの新型EVブランド「e:N」シリーズを拡充し、2027年までに10車種の投入を計画。さらに、中国のIT大手・華為技術(ファーウェイ)との協業も検討しており、スマートコックピットや自動運転技術の導入を目指す。
ホンダの三部敏宏社長は「中国市場の変化に対応するため、現地パートナーとの協業をさらに強化する」と述べ、中国市場での競争力向上に意欲を示した。
日産、中国向けEVの生産能力増強
日産自動車も中国市場でのEV生産能力を増強。2025年までに中国の工場でEVの年間生産能力を30万台に引き上げる計画。また、中国の電池大手・寧徳時代新能源科技(CATL)と協業し、低コストで高性能な車載電池の調達を進める。
日産の内田誠社長は「中国EV市場の成長を取り込むため、生産・販売体制を強化する」と述べ、2026年までに中国市場でのEV販売比率を40%に引き上げる目標を掲げた。
日本企業の課題と今後の展望
日本企業の中国EV市場での巻き返しには、いくつかの課題がある。まず、中国メーカーとの価格競争。BYDは低価格EV「シー」シリーズで攻勢をかけており、日本企業は価格面で劣勢に立たされている。また、ソフトウェアや自動運転技術でも中国メーカーに後れを取っている。
しかし、日本企業は品質やブランド力で優位性を持ち、HVで培った電動化技術をEVに応用できる強みがある。また、中国政府のEV普及政策が継続する限り、市場は拡大を続ける見通しだ。
日本企業が中国市場でEV戦略を転換し、巻き返しを図るかどうかは、今後の協業や技術開発の成否にかかっている。



